「酒」という漢字の起源、古代中国の甲骨文字に迫る
「酒」という漢字の起源、古代中国の甲骨文字に迫る

2018.02.23

「酒」という漢字の起源、古代中国の甲骨文字に迫る

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はじめまして!ぼんちゃんです!

2017年入社のピチピチ23歳の私ですが、趣味は丸っきりおっさん体質。大学時代の休日の楽しみは、某餃子の店にて一人で晩酌をすること。餃子を肴に流し込むビールは最高!…なんていう生活をしていたら4年間で20kg増量してしまいました。

食べることが大好きな私ですのでこのコラムも「食」で行こうと思ったら、まさかのほっけさんとテーマ被り。しかもあちらの方が企画性に優れていたので変更を余儀なくされました。無念。

じゃあどうしようかとなりまして、私は「歴史」をテーマにしました。日本酒=伝統産業と想起する方が非常に多いと思いますが、時代背景や需要に合わせてその形は様々に変容してきました。その歴史をこのコラムを見ただけで振り返ることができたら最高だな!っていう感じです。よろしくお願いします!

当コラム「教科書には載っていない、日本酒の歴史。」では、日本酒にまつわる歴史エピソードをシリーズで紹介していきます。

ビールは「酒」ではない

今回は最初の投稿となりますので、「酒」という文字について題材にしてみます。

日本人は酒のことを「酒」と言います。何を当たり前なことを言っているのか、という感じもしますが、「酒」はそもそも「白米を蒸して、麹と水を加えて醸造した飲料」(三省堂『大辞林』より)を指した言葉です。それを酒類の総称として用いているのですが、これって実は違和感しかないですよね。英語では酒類のことを「Alcoholic drinks」と表現し、酒類の総称と各種アルコール飲料を区別して扱っています。つまり英語圏では「ワイン」「ビール」「ウイスキー」などを酒類の総称として用いないわけです。日本人も日本酒のことをビールとは言わないですし、よくよく考えてみたらその違和感に気づく方も多いことでしょう。ちなみに日本酒を英語で書くと「Sake」なのですが、「Japanese sake」と間違った表現をする日本人が非常に多いです(僕も最初はそうでした)これも先述した違和感を如実に表した良い例なのでは?

そもそも「酒」の起源はいつなのか?

初出は殷王朝後期(BC13~11世紀頃)の甲骨文字だと言われています。甲骨文字とは占い等に使われていた象形文字を指します。漢字の起源だと言われていて、これに関しては歴史の授業で習った記憶のある方も多いでしょう。

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甲骨文字の「酒」は、真ん中が酒器を表していて、横の2本の波線は酒器から酒が溢れかえる様を表すと言われています。

僕はこれを見て、「なぜ真ん中の文字は酒器を表しているのに、現在の『酒』のつくりは十二支の『酉』を用いているのだろう。」という疑問を持ちました。横の波線は液体なのでさんずいに変化したと解釈できますが、酒器が酉になるのは理解しかねます。この疑問を解消するにはそれこそ大学院で国文学やら中国文学、あるいは考古学などを専攻して研究に明け暮れるしかないと思われますが、少々下調べしてみた感じだとこれが有力。
酉と同じ語源に「酋(シュウ)」という文字があって、この文字には首領・長といった意味合いがあります。メジャーリーグのクリーブランド・インディアンスはインディアンの酋長(部族の長)をあしらったロゴを使用していましたが、それが先住民差別にあたると10年以上前から問題視されていて、先日遂に親しまれたロゴの変更が決定されました。そのニュースでこの漢字を見た方もいるのではないでしょうか。
またそれとは別に、「酋」には古酒という意味もあるそうで、古代では「酒を絞る長」という意味での使われ方もしていたようです。これと同じ語源である酉ですから、「酒を絞る」的な動作を表す意味合いでこのつくりが使われるようになった、という学説です。確かに理屈としてはわかる気がします。

甲骨文字の意味

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甲骨文字は元々占いに使われていたと書きました。これを「ト占」と言います。骨や甲羅に小さい穴を開け、そこに熱した青銅器の棒を刺し込むと、穴を起点としてひび割れが生じます。そのひびの具合で何かを占うという仕組みです。

その「何か」は占う前に予め決められていて、占いの後、実際にその物事がどういう感じになったのかを、使用した甲羅や骨に象形文字で記録したものが、現在甲骨文字と呼ばれています。例えるなら「僕は将来結婚できますか?」と占って、「結婚できた」「こうでこうでこうなったから結婚できなかった」などと記録したものがそれにあたります。ただ占いと言っても、朝の番組や〇〇の母とか〇木数子さんがやっているような現代の物とは違い、祭祀や儀式の中で行われる神聖な行為です。国や地方、あるいはもっと小さい集落などのコミュニティーにおける重大な決め事で使われたと考えるのが妥当でしょうか。それを踏まえると、甲骨文字に表される「酒」も、現代の誰からも親しまれているような酒ではなく、神秘的かつ厳かなものであったのだろうと思えてきます。

おわりに

いかがだったでしょうか。今日は「酒」という文字の始まりを見てみましたが、実はこのような文字の解釈が日本酒の歴史を辿る上で非常に重要です。いつかテーマとして扱うことになると思いますが、清酒の始まりも文字の解釈で諸説分かれたりします。そもそも文献に見える「酒」が、本当に我々が思っているような米を原材料とした酒かもわからないのです。しばらくは今回のようなテーマが続くと思いますが、辛抱強くお付き合いいただければと思います。ちなみに次回は「日本における酒の興り」を題材にします。

末筆ですが最後まで駄文をお読みくださった皆様ありがとうございました。

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ぼんちゃん

2017年入社。 「人生なんとかなるよ」と言い聞かせ、のらりくらり生きてる。
連載「教科書には載っていない、日本酒の歴史。」では、
誰もが聞いたことがある日本の歴史舞台の裏側、当時の日本酒エピソードをご紹介していきます。

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