不老長寿の菊で秋を祝おう!重陽の節句のはなし
不老長寿の菊で秋を祝おう!重陽の節句のはなし

2018.09.21

不老長寿の菊で秋を祝おう!重陽の節句のはなし

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こんにちは!インターンシップ生の風香です。

入道雲がうろこ雲へと変わり、涼やかな風が秋の訪れを感じさせる今日この頃。皆様いかがお過ごしでしょうか?

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私が今住んでいる山形県では、全国有数の生産率を誇る食用菊「もってのほか」の出荷が始まりました。もってのほかは「天皇家の御紋である菊の花を食べるとはもってのほか」、「もってのほか美味しい」などからついた愛称で、本来の名称は「延命楽」という紫色の食用菊です。今日はこの秋口に旬を迎える「菊」にまつわるはなしをしたいと思います。

一年で最もめでたい日!重陽の節句

菊といえば、9月9日(新暦10月17日)の「菊の節句」というものをご存知でしょうか?菊の節句は五節句の一つで、本来は重陽の節句と呼ばれます。

五節句とは、江戸時代に定められた5つの式日(祝日)を指し、1月7日の人日(じんじつ)の節句、3月3日の上巳(じょうし)の節句、5月5日の端午(たんご)の節句、7月7日の七夕(しちせき)の節句、9月9日の重陽(ちょうよう)の節句があります。

陰陽思想では奇数は縁起の良い陽数、偶数は縁起の悪い陰数と考えられており、奇数が連なる目出度い日をお祝いしたのが五節句の始まりです。中でも「九」という数字は陽の気が最も極まった数字。「九」が重なった9月9日は「陽」が「重」なった日、つまり「重陽」と呼ばれ、一年で最も目出度い日として、また目出度い反面悪いことにも転じやすい日として、お祝いと厄祓いが行われてきました。

各節句にはお祝いと厄払いの意味を込めて、その時期の植物を飾ったり食したりします。上巳の節句では桃の花を飾ることから桃の節句となじみ深い呼び方をしますね。では重陽の節句の別称「菊」の節句の菊は、どのように関わっているのでしょうか?

不老長寿の妙薬?菊に隠された健康の秘訣

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重陽の節句に欠かせない植物、菊。古来より中国では菊の花が不老長寿の薬草とされていました。日本に菊が伝来した平安時代、菊の花が咲き誇るこの時期、お酒に菊の花を浮かべた「菊酒」を飲んで邪気を払う風習があったとされています。

何故、菊に不老長寿や邪気払いの効果を認めるようになったのでしょうか?

先に述べましたように、漢方薬で使用される菊(生薬名:菊花)にはフラボノイドのフラボン類であるルテオリンという物質が含まれており、解熱、解毒、消炎などの効果が認められています。また近年の研究結果より、抗酸化物質活性、炭化水素代謝の促進、免疫系の調整、2型糖尿病の治療等の作用を持つ可能性が示されています。

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食用菊には増血ビタミンとも呼ばれる葉酸、抗酸化物質であるビタミンE、血圧上昇を抑えるカリウムなどが多く含まれています。また菊の香りにはクリサンテノンというモノテルペンが含まれており、リラックス効果が認められています。これらの効能が、昔の人々が不老長寿や邪気払いの縁起物の花とした所以となったのでしょう。

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菊を使った簡単料理で秋を愛でよう

重陽の節句に食べる食材といえば栗や茄子などが一般的ですが、せっかくですので旬物である菊を用いたレシピを紹介したいと思います。

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1)菊酒

先の記事で紹介しました通り、重陽の節句に欠かせないのが菊酒。作り方は簡単。よく洗い水気を取った食用菊の花弁をむしり、数枚酒の上に散らすだけ!いつもの日本酒が、菊の香りがふんわりと広がる雅なお酒に変身します。菊の香りを生かすためにも、おだやかな香りの日本酒を使用するのがポイント。(今回は当蔵の「純米酒 岩手山」を用いました)

 

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焼酎やホワイトリカーを使用する場合は、同じように良く洗った菊の花弁もしくは花を丸ごと熱湯殺菌した密閉容器に入れ、好みの量の氷砂糖を加えた後焼酎やホワイトリカーを注ぎ密閉します。梅酒の仕込みと手順はほぼ同じです。一カ月ほどで菊の色と香りがお酒に移り、飲み頃となります。

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2)菊のレモン和え

山形で最もポピュラーな食べ方「菊のおひたし」をさっぱりレモンでアレンジしたのがこちら。鍋にたっぷりのお湯を沸かし、良く洗った菊の花弁をさっと湯がきます。このときお酢を50ccほど加えると、色味が鮮やかになり菊特有の歯ごたえが損なわれません。

ゆで上げた菊は冷水で素早く冷やし、ぎゅっと絞って水をよく切ります。(この状態の菊を密閉容器に入れて冷凍することで長期保存も可能になります)

次に、レモン1個分の果汁を絞り、塩を2つまみほど加えたものを菊の花弁と和えます。適度に汁を切ってお皿に盛れば、食卓を彩る菊のレモン和えの完成!箸休めにも、お酒にも合う一品です。

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3)菊の天ぷら

これは私が研修でお世話になった農家さんから教えていただいたレシピです。

良く洗い水気を取った菊の花弁に薄力粉を軽くまぶし、小麦粉、片栗粉、卵黄を水で溶いた衣に潜らせかき揚げの要領で揚げます。花弁を毟らず花ごとあげる場合は、衣に潜らせた後額を下にして油に浮かべるようにして揚げると綺麗に仕上がります。

軽くてサクサクの菊の天ぷらは、塩をつけていただきます。‘がく’つきの天ぷらはちょっとほろ苦い大人の味。どちらもお酒のお供にぴったりです!

 

さて、秋を祝う「重陽の節句」のおはなし、いかがだったでしょうか?

他の五節句に比べ近年では少々影が薄くなってしまった式日ではありますが、秋の涼やかな風と明るい月をお供に、旬物と花香るお酒に舌鼓を打つ…そんな風に一年で最も目出度い日を祝ってみるのも中々オツなのではないでしょうか。

それでは、今回はこのあたりで。次回もまたよしなに。

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片岡風香

山形大学農学部食料生命環境学科4年インターンシップ生。
普段は植物の生育コントロールについて大腸菌や酵母の遺伝子組み換えを用いた実験を日夜行う根っからの理系ですが、本コラムでは歴史や文化、古典、時々科学をまじえながら「食卓の外の日本酒の話」をしていきたいと考えております。

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