最高にナウい「燗文化」~豊かになる日本と多様化していく日本酒
最高にナウい「燗文化」~豊かになる日本と多様化していく日本酒

2019.02.7

最高にナウい「燗文化」~豊かになる日本と多様化していく日本酒

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どーも!ぼんちゃんです!

しばらく番外編の投稿が続いていましたが、久々に本編のコラムとなります。

2018年が終わり、1年の短さとまったく成長しない自分の愚かさに辟易する毎日を送る2019年1月です。というネガティブかつ本気で言っているのかもわからない絡みづらい冗談は置いときまして…。

そんな憂鬱な日々を助けてくれるのはやっぱり酒。もっと言うと燗酒。

僕は夏場でも燗をつけて飲む人間なので、季節感とかで飲んでいるわけではないのですが、この季節に飲む燗酒はやはり五臓六腑に染み渡ります。「酒ばかり飲んでちゃダメだよ!」とよく言われますが、「酒蔵の人間」という免罪符を手に堂々と酒を飲み続けます。ていうか酒蔵の人間じゃなくても適度に飲めば健康的に楽しめるのが日本酒なので、みなさんも気にせず酒をたくさん飲みましょう!!

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ということで蔵元の心の叫びを挟みましたが、この流れとタイトルで察している方がほとんどかな…。今日から「燗酒の歴史」をテーマに取り上げます。

燗酒、個人的にはめちゃくちゃ好きです。美味しいし次の日も残らないので最高のアルコール飲料だと思っています。友達との飲み会でみんな乾杯のビールやハイボールを飲んでいるのに、僕だけお猪口をすすり「なんだこいつ…」みたいな目で見られることにも慣れてきたところです。

そんな燗酒ですが、試飲会やイベントで消費者の皆様と直接お話していると、様々な誤解や悪いイメージを持たれていることが多々あります。今日から始まるシリーズを全部お読みくださった皆様が、少しでも燗酒に興味を持っていただけるように頑張りますので、暫しお付き合いいただければ幸いです。

日本の燗文化

酒を温めて飲むことを「燗」と言いますが、この文化は日本・中国でのみ行われる独特な文化です。鋭い人は「ホットワインやビールもあるよね?」と言うかもしれませんが、それらは常温のビール・ワインをそのまま燗つけるわけではなく、スパイスや糖類を入れてから温めるのでカクテルの扱いになります。つまり何も加えない酒その物を加熱する行為を「燗」と言い、常温でも温めても美味しい酒ということ自体に特異性があるわけです。

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日本酒の燗の醍醐味は、何と言っても飲用温度の違いで味わいが変わる点だと思います。そもそも日本酒は冷やしておいしい酒と温めておいしい酒に分かれますが、同じ温めておいしい酒でも商品によっては低い温度の燗がおいしかったり、思いっきり上げた燗がおいしかったりキレイに分かれます。その温度帯には以下の通りそれぞれ名前がつけられています。

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よく燗酒のことを「熱燗」と言う人がいますが、これも決められた温度帯の名称です。実際熱燗で飲むことが多いからかもしれませんね。

そのお燗、やっちゃってませんか??美味しい燗酒の3つのコツ

ところで「燗ってどうやってつければいいの?」というご質問をよくいただきます。厳密に言えば「こういう酒はこういう酒器でこういう温度の上げ方をしてうんぬんかんぬん…」と、一々語尾に「長々と失礼しました」という謝罪を入れる羽目になります。ただ「これだけは絶対にして!」というポイントを挙げるなら湯煎です。湯煎ならまず失敗しません。逆にレンジで燗つけるのは正直おすすめしません。どうしてもレンジで…という方は、詳細が以前のコラム「そのお燗、やっちゃってませんか??美味しい燗酒の3つのコツ」に書いてあるのでご参照ください。この章ではではさらっと書きましたがシリーズは続きます。そのうちくどい文章がやってくるので乞うご期待。

日本酒の多様化は生活が豊かになった証

今でこそ冷やして飲まれることが多い日本酒ですが、これは最近になってからの話です。

それがよくわかるのが「冷や酒」という言葉。これは常温のお酒を指した言葉です。冷蔵庫が登場する前は人工的にお酒を冷やす道具などもちろん存在しないわけで、日本酒の飲用方法は常温か燗酒しかなかったのです。だから相対的に常温のお酒は冷えているため「冷や酒」と呼ばれていました。冷蔵庫が登場してからは冷やした酒と「冷や酒」を区別するために、前者を「冷酒」と呼ぶようになりました。

科学技術の発達に合わせて日本酒も多様化していく過程にどこかロマンを感じます。100年後の日本酒はどうなっているのでしょう。ワクワクしますよね。

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冷酒が一般化したのは、やはり家庭用冷蔵庫や店頭の冷ケースの普及が大きいと思います。スマホ1台分の機能は、数十年前に体育館ほどの面積一面に設置されていた巨大コンピュータより優れていると言います。現代に住む私たちは様々な発展の恩恵を享受していますが、多様な酒を飲むことができるのもその一部分。一日本酒ファンとしてありがたみをひしひしと感じています。

「日本の燗文化」の所で中国でも燗文化が根付いていると書きました。中国ではそもそも漢方の教えにより「冷たい食料は体に悪い」という認識が定着しています。酒の性質に加えてこの思想が中国の燗酒の背景にあるわけですが、日本ではあまりそういった概念が広まっていません。

まあ夏バテは冷たい物の飲みすぎが原因などと言われていますし、全く言及されていないわけではないのですが。冷やして飲む酒が定着したのには、両国の文化の違いも要因としてありそうです。

焼酎の燗

日本では日本酒の燗はもちろんですが、焼酎の燗も一部地域で行われています。

今はお湯割りが一般的ですが、焼酎の燗は事前に加水(前割り)をして加熱する方法が一般的で、アルコール度数が低いものは直接燗をつける場合もあります。焼酎文化は九州が中心なので、東北の人間としてはあまり馴染みのない飲み方ですが、薩摩焼で「黒ぢょか」と呼ばれる焼酎燗専用の酒器があるほど。鹿児島などの一部地域ではとても親しまれています。

そんな焼酎の燗がお湯割りと比べて下火なのは、飲むまでに時間がかかるという要因が大きいかと思います。

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焼酎と水では比重が違うので、前割りで冷たい水を加えた時にどうしても分離してしまいます。2つの液体が馴染むまでに2週間ほどかかり、「今すぐ焼酎を燗つけて温まりたい!」というせっかちな酒飲みにはやはり不向きです。逆にお湯割りは湯が酒器を滞留するので早く馴染むというメリットがあり、燗よりも広く親しまれています。日本酒もそのまま燗をつけることを考えると、「即時性」という言葉が燗にとって重要なキーワードのように感じます。

ちなみに飲食店によっては、「前割り○日目」などと表記した焼酎の燗を出してくれるこだわりのお店もあるようなので、見かけた際には是非ご賞味ください。

酒の温度を変える好奇心

ここまで書いていて思ったのですが、温かい・冷たい問わず、それぞれに適した酒を造ろうと試行錯誤を繰り返してきた酒造業界の先輩方は本当にすごいと感じます。

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ワインやビールは調味料・スパイスを添加して加熱すると書きましたが、日本酒はそれをせずにジャストフィットした酒を作り上げています。酵母・米・種麹から仕込まであらゆる点で工夫がなされ、同じ原材料にも関わらず千差万別の酒が全国にあります。全国約1500蔵の無数にある商品それぞれが、ジャンルこそあれどしっかり差別化されているのは冷静に考えてすごくないですか?日本酒は世界に誇れるすばらしい文化だと改めて感じさせられます。

ということで次回もシリーズは続きます。次回は歴史から少し離れて「適温」をキーワードに進めていこうと思います。乞うご期待。末筆ながら駄文を最後までお読みいただきありがとうございました。

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ぼんちゃん

2017年入社。 「人生なんとかなるよ」と言い聞かせ、のらりくらり生きてる。
連載「教科書には載っていない、日本酒の歴史。」では、
誰もが聞いたことがある日本の歴史舞台の裏側、当時の日本酒エピソードをご紹介していきます。

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