2020.10.3
搾った、瞬間。
槽(ふね)からほとばしる、うまれたての新酒。
鮮冽な香り、純然な味わい。
この感動は、どんなに流通が発達した今日においても蔵人だけが立ち会うことが許されるものです。この瞬間を、ひとりでも多くの人と共有したい。
そんな気持ちで生まれた、純真で、無邪気な酒。それが菊の司酒造の直汲生原酒[無垢-innocent-]です。
菊の司酒造は岩手県盛岡市に蔵を構える、県内最古の酒蔵です。
盛岡の中心街にありながら、蔵の真裏を流れる中津川は穏やかで美しい清流。年間を通して川底が透き通り、夏はアユ釣り、秋頃はサケが産卵のため遡上する自然あふれるの川です。そんな中津川の伏流水を仕込水として汲み上げ、お酒造りに取り組んでいます。
中軟の自然水を使用し、朝晩の冷え込みが厳しい「本州一寒い」とも言われる盛岡の地で醸す日本酒。
「和をもって酒造りの心とする」をモットーに向き合う私たちの酒造りは、調和です。香り鮮やかに、旨みのふくらみとキレのメリハリがある食中酒が私たちの信条です。
直汲生原酒(じかくみ・なま・げんしゅ)とは、搾りたてのお酒を無濾過・非加熱・非加水でタンクからそのままビンに詰めた日本酒です。
まさに「そのまま」の味わいは飾り気が無く、しかし表情は豊か。
みずみずしく透明感のある甘味、ハツラツとした酸味と微かなガス感。柑橘を想わせる渋味や苦味を伴いつつ、あふれるばかりの香りを膨らませながら、すっとキレていくノド越し。
私たち蔵人にとって、この味わいを追い求めて約1か月間の仕込みに取り組み、この味わいをもって初めて「対面」し、みなさまにお飲みいただくまでの付き合いが始まります。緊張と感動の瞬間なのです。
本来ならば、商品として体裁を整えた姿でみなさまにお目にかかるはずのお酒を敢えて、数本のタンクを選抜し、特別に直汲生原酒にてお届けいたします。
通常の日本酒は、大まかに上の図のように瓶詰めされます。
お酒を搾った後、どのような成分のお酒がどのくらいできたかを記録する必要があり、これを検定と言います。検定後、瓶詰のスケジュールに従って瓶詰用のタンクに移動し、ビン詰めされます。もちろん、この間に火入れやろ過、加水を施すものもあります。
当蔵では、特定名称酒は原則「無ろ過・無加水」でなるべく早い瓶詰めに取り組んでおりますが、それでもお酒を搾ってから瓶詰めをし、お客さまのもとへお届けするまでに最短でも1~2週間はかかります。
対して直汲では検定後のタンクから直接ビンに詰めるため、酒蔵でしか味わうことができない搾った直後のお酒に極めて近い香味をお楽しみいただくことができるのです。また、直汲はポンプを介さないため、溶け込んでいる炭酸ガスを失うことなく、ピチピチとしたガス感を有していることも特徴。
今年仕込むタンクの中から8本を選抜し、直汲生原酒としてお届けいたします。すべてが違うタンクからの瓶詰めであり、仕込みごとの香味の絶妙な違いや原料米、酵母などのスペックの違いをぜひお楽しみください。
菊の司酒造の直汲生原酒[無垢-innocent-]は菊の司酒造取扱い酒販店様でお買い求めいただけます。また菊の司酒造ネットショップにてご予約も可能です。
また、この商品はもろみを搾った当日にビンに詰め即日発送いたします。そのため、もろみの発酵により発売日が前後いたしますのでご了承ください。お酒造りの様子や商品の発売日のお知らせは菊の司酒造のSNSで発信いたします。