2020.06.5
毎度!営業のまっさんこと松平です。
入社2年目となるとお酒のお付き合いが増えてくる今日この頃。
酒をぐいと呑みいい気持ちに…しかし、ここはお付き合いの席。「今日は無礼講!」なんて言葉を鵜呑みにしてしまい、本当にご無礼をなんてことは避けたいところです。
会社の上司や同僚だけでなく、気の合う友達と飲む場合であっても最低限のマナーは守りたいところですね。
知っているようで意外と知らない。今回はお酒の席での作法と立ち振る舞いや、それにまつわる歴史に注目してご紹介していきたいと思います。
冒頭でも述べた「無礼講」ですが、本来の意味は「本来座席を立ってはならない参加者が席を立ち、酌をすること」とあります。
後醍醐天皇が即位時(鎌倉時代)、宴の際に個々の席の指定をなくし、身分や立場の違いを超えて自由にお酌することを許可したことが語源とされています。
鎌倉幕府を滅ぼしたことで有名な彼ですが、夜な夜な無礼講の宴を開き討幕の作戦でも練っていたのでしょうか…?これは私の妄想なのであしからず。(笑)このことから、古来よりお酒を通してのコミュニケーションは行われていたことがおわかりいただけたでしょう。
かつて茶道や書道のように「酒道」たるものがあったということはご存知でしょうか?
この「酒道」、お酒の注ぎ方や呑み方、返杯の仕方、酒膳の配り方など酒席での礼儀作法を細かく定めることによって精神性を高める目的のもとに始まったとされています。この文化が広まったとされた時期は身分制度がまだ存在していた室町時代まで遡ります。公家流や武家流など、それぞれの身分に沿った流派が形成されていきました。この流派の違いをお酒の受け方に注目してご紹介していきましょう。
公家流では、左手の人差し指と中指でお猪口の底(底の円)を挟み込むようにして、親指で縁を支えます。さらに反対側の右手の人差し指、中指、薬指を添えます。両手でお酒を受けることで相手への敬意や尊敬が表現される受け方といえるでしょう。
武家流は、親指と人差し指でお猪口を持ち、薬指と中指で底を挟むようにします。酒器が安定し、姿勢よく受け呑みできます。武士道精神が色濃く、なんとも男らしい印象を受けます。
…というように、呑み方ひとつをみても立所によって大きな作法の特徴がでました。
明治時代へと突入すると、幕府は四民平等政策を施行、これによって従来の身分制が消滅していくのです。それに伴い、酒道の文化は薄れていってしまったのです。しかしながら、その酒道たる精神は完全に途絶えたわけではなく、今日の料亭などの宴席へ継承されています。
基本的にお酒は静かに注ぎます。焦ってドバドバ注いでしまっては、器からこぼれてしまうだけでなく、日本人の美意識の一つである侘(わび)・寂(さび)の世界からかけ離れてしまいます。
まずは心を落ち着かせることが大切です。
お酒の注ぎ方には、昔から「鼠尾、馬尾、鼠尾(そび、ばび、そび)」という言葉があり、注ぎ始めは鼠の尻尾のように細く、中盤は馬の尾のように太目に注ぎ、終わりにむけて、鼠の尻尾のようにまた細くしていくのだそうです。このことで溢れてしまう失敗もなく、美しくスマートにお酒を魅せることができます。
さらに注意したいのは、お酒を注ぐ量です。
酒器の種類にもよりますが、お猪口なら八分目、ぐい呑みなら六~七分目までが理想です。目一杯注いでお座敷やテーブルなどにこぼしてしまう行為はお店へのご迷惑となるので気をつけたいところです。徳利で注ぐ場合、男性は右手だけで持ち(相手が目上の場合は左手も添える)、女性はさらに左手をそっと徳利に添えることで美しい立ち振る舞いとなります。
誰しもお酒を囲みながらお料理や会話を楽しみたいですよね。一緒に飲んでいる相手やシチュエーションによってふさわしい立ち振る舞い方は変わってきます。例えば、目上の人とお酒の席を共にする時などは程よい緊張感を保ち、失礼のない行動をとりたいところです。以下の項目は最低限覚えておきたい酒の席でのマナーとなります。
①テーブルの上に置いてある盃に勝手にお酒を注ぐのはマナー違反です。コミュニケーションを図る絶好のチャンス!必ず相手に一声かけてからお酌をしましょう。
②場を盛り上げる一気飲みや一気飲ませは相手への想いやりに欠ける行動です。また、泥酔や急性アルコール中毒の原因につながりますので、しっかりと自分や相手の許容量を把握しておくことが大切です。
③お酒の残量を確認するために徳利の中身を覗いたり(覗き徳利)、振る(振り徳利)などの行為は美しさに欠け、マナー違反にあたります。飲んだ目印として徳利を横に倒す(倒し徳利)こともNG!酒器の破損や卓上を乱すことになるので気を付けましょう。
どれもついやってしまう行為ですが、しっかりと心得て楽しいお酒の席にしたいですね。
昔からこのようなやり取りの中で、お互いの人間性を知り合い、関係を深めてきた日本人ですが、お酒の席での作法など「酒道」は我々日本人ですらまだまだ知らないことは多いようです。
いまや世界中が興味を示しているSAKE。
今後、国境を越えた人と人のコミュニケーションを図れるツールとなっていくことでしょう。日本の美しき文化を歪曲して伝えないためにも基本をしっかりとマスターしたいところです。最後にお酒は堅苦しく呑む必要はなく、「もっぱら楽しむものだ!」ということです。そこには古人が築いてきた美しい酒の席での立ち振る舞いがあることを決して忘れてはいけません。
本当に日本酒は奥が深いですね。
「和をもって、酒造りの心とする。」
人と人を結ぶお酒は本当に素敵です。
それでは、第7弾!整いました!