2020.06.5

杜氏の正体に迫る!美酒に映るその姿とは?!

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毎度!菊の司営業のまっさんこと松平です!

今回で第5弾目となるコラム「日本酒かるた」。毎回、日本酒にまつわるお題をチョイスし簡単にわかりやすく解説します!かるたコンプリートまで末永くお付き合い下さい。

さて、当蔵の所在地でもある岩手県には南部杜氏発祥の里である石鳥谷(いしどりや)町がございます。

南部杜氏とは南部流という流派で酒造りに取り組み、全国で最大規模の杜氏集団とされてきました。日本酒の歴史を支えてきた三大杜氏(南部杜氏・越後杜氏・丹波杜氏)に名を貫ね、その目覚ましい活躍は今も尚、各地の蔵元で重宝され続けています。

素朴な疑問になりますが、なぜ彼らは「南部杜氏」と呼ばれるようになったのでしょう?

それは廃藩置県が行われる前に存在した「南部藩」と深く関わっているようです。現在でいう岩手県北上市から青森県下北半島まで及ぶ地域に南部藩がありました。その地域で受け継がれてきた日本酒の醸造技術は独自の流派を生み出しました。この流派を携え全国各地の蔵元へ行った際に、他の地方の人々から「南部から来た杜氏」ということで、「南部杜氏」や「南部流」といった名称が生まれたとされています。

南部流に属する杜氏たちが造りだした銘酒は豊富で、吟醸酒の時代を築いた静岡「磯自慢」(磯自慢酒造)や全国を唸らせた青森「田酒」(西田酒造)などなど…。ここではご紹介しきれない程、全国銘酒に南部杜氏・南部流が関わっていることに驚きました。

今回は酒造りのプロ「杜氏」について少しばかりお話していきたいと思います。

各地の杜氏流派

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全国にはいくつかの杜氏集団が存在します。

津軽杜氏(青森)、山内杜氏(秋田)、南部杜氏(岩手)、会津杜氏(福島)、越後杜氏(新潟)、小谷杜氏・諏訪杜氏・飯山杜氏(長野)、能登杜氏(石川)、大野杜氏(福井)、越前糠杜氏(福井)、丹後杜氏(京都)、丹波杜氏(兵庫)、南但杜氏(兵庫)、但馬杜氏(兵庫)、城崎杜氏(兵庫)、備中杜氏(岡山)、土佐杜氏(高知)、越智杜氏・伊方杜氏(愛媛)、柳川杜氏、三瀦杜氏、久留米杜氏、芥屋(けや)杜氏、肥前杜氏、唐津杜氏、小値賀杜氏、生月杜氏、平戸杜氏、熊本杜氏など(九州地方)

このように、各地方独自の流派(技術)を誇りとした酒造りがあるのです。

最近では、酒造りに関する様々な事柄が科学的に解明され、以前ほど各流派の特徴は少なくなりつつあります。しかし、酒を人の手で造っている以上、個々の杜氏が受け継いできた技や想いはこの先も消えることはないでしょう。長年の積み重ねによって形成された杜氏の真髄が毎年お酒へと込められているのです。

杜氏一門の組織図を作ってみた!!

日本酒の醸造は世界でも唯一無二というほど、複雑で精巧といわれています。

この類を見ない技術を継承してきたのが、「杜氏(とうじ)」です。

杜氏と呼ばれるリーダーは一つの酒蔵でただ一人。酒造技術面のエキスパートでありながら、統率力や判断力を兼ね備え、分野を限定せずに総合的にプロデュースする、酒造りの最高責任者なのです。そして、杜氏のもとで酒造りに携わる人たちを「蔵人(くらびと)」と呼びます。

杜氏・蔵人の中にはお米農家の方も多数います。その年のお米の出来具合を知っている人たちが集まっているわけですから、蔵元にとっては相当心強い存在となるでしょう。

杜氏一門のメンバー構成は以下の通りです。

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杜氏・蔵人たちは「蔵入り」「秋入り」といって毎年11月頃に蔵に集結します。そして翌年の3月頃まで蔵で酒造りを行うのです。

「えっ!?日本酒は通年で作っているお酒だと思っていた!」

「なぜ、この時期だけ杜氏さんたちは蔵元に来るの?」

かつて私自身も抱いた疑問です。その真相とは……。

冷たい北風が吹けば日本酒造りの季節

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江戸時代、日本酒は冬場に仕込むことがメインとなりました。

江戸幕府は米の不作などを理由に酒造りを制限し、冬場のみの造りがたびたびでした。この「減醸令」とゆう酒造統制が発端となっているようですが。冬場に仕込む本当の理由は日本酒の性質が深く関わっているのです。

清酒醸造の発酵は低温で行います。気温があまり下がらない夏場はどうしてもお酒が雑菌に汚染されやすく、上質なお酒を造ることは難しいといえます。

このことから、日本酒を仕込む際には酒質が向上しやすく、品質管理も安定している寒い時期に集中して酒造りを行うことが現在まで定着してきました。紅葉が始まり冷たい北風が吹きはじめると、杜氏一門は蔵へ集まり一丸となって仕込みの準備から酒造りをスタートさせます。1年で最も寒い12月から2月頃までの日本酒造りを「寒造り(かんづくり)」「寒仕込み(かんじこみ)」といいます。この時期に杜氏渾身の吟醸酒造りも最盛期を向かえるのです。

未来の酒の造り手は?

経済成長期もあり、杜氏や蔵人の後継者らの地元企業への就職も増えていきました。

その結果、杜氏・蔵人の平均年齢も高くなり、1978年には約3000人いた杜氏が、2009年には約800人と激減してしまったのです。杜氏の技を伝え継ぐ状況が困難になる中で、新しいタイプの杜氏も増えてきました。大学や高校で醸造や農業を学んだ後、酒造りの経験を積み、杜氏や蔵人になる方。経営者(オーナー)が杜氏を務め社員全体で酒造りに取り組んでいる蔵も存在します。

女人禁制は昔の話で、女性杜氏・蔵人の登場も現在では珍しい話ではなくなりました。日本酒の魅力に目覚め、日本酒造りに携わりたいと興味を持ち蔵元の門をたたく姿形は十人十色です。

 

蔵人になれば、誰もが杜氏になれるとは限りません。知識や経験、そして人間性。醸した酒に映し出されるかのように酒造りの姿勢は酒の味わいへとなるのでしょう。本当に日本酒は奥が深いですね。

「和の心をもって、酒造りの心とする。」

人と人が造ったお酒は本当に素敵です。

それでは、第6弾!整いました!!

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