2020.06.5
お世話になっております!営業の松平です。
前回のコラム日本酒かるた(第4弾)では「清酒酵母」についてお話させていただきました。
ザックリおさらいすると、麹の力でデンプンから分解されたブドウ糖(糖質)を清酒酵母は食べアルコールをつくり出します。このことを発酵といいました。
また、清酒酵母の発酵力を活かした吟醸香の生成についてさまざま……。
まだ読まれていない方は、日本酒かるた『日本酒好きがほってはおかない!酵母の生きた証。』をぜひご閲覧くださいませ!!
日本酒醸造の中心は酵母と思ってしまいますが、この酵母が力を発揮できるのにはある存在が深く関わっているのです。
リレー競技では選手たちの足がどんなに速くてもバトンパスが上手くいかなければ良い結果にはなりません。
今回の日本酒かるたのお題は酵母へと華麗なバトンを繋ぐ重要な役割をしている名選手「乳酸菌」のお話です。乳酸菌のバトンパスのテクニックを少しばかりですが、ご紹介していきましょう。
日本酒造りにおいて「乳酸菌」という言葉は主に酒母造りの段階で登場します。
酒母はその名の通り、酒の母となるものです。この酒母造りとはまず健全な酵母を育成できる環境づくりを第一目的として行われます。
この環境づくりをするためには酵母が増えるまでの期間、色々な雑菌からの汚染を防ぐ必要があります。多くの微生物は弱酸性の乳酸に弱いことから、酸性環境をつくるためには、「乳酸菌」の仕事が重要なのです。
乳酸菌が雑菌や酒質に悪影響を及ぼす野生酵母を制圧しタンクの中は乳酸菌で満たされます。その後、清酒酵母が活動できる環境が整い、酵母添加されると乳酸菌は急速に死滅し酵母がみるみると増え始めます。まるで乳酸菌から酵母へとバトンを渡すかのようです。
酒母造りは明治末頃からの「速醸?(そくじょうもと)」と、江戸時代から伝わる「生?(きもと)」があります。この2つはどのようにして乳酸を得るかによって大別されます。
速醸?は原材料を仕込む時点で乳酸を添加してタンク内を酸性にします。雑菌汚染を防ぎながら強い酵母の増殖を狙うのです。こうしたことで、腐造を防ぐことが出来ます。
一方、生?では、原材料の仕込み時には乳酸を添加せず、天然の乳酸菌を使用します。そのため仕込み段階で乳酸を添加する速醸?と比較すると、手間と時間がかかるのです。
速醸?なら約12日で酒母ができますが、生?では倍の約25日かかります。
生?系酵母は天然の乳酸菌が懸命に働くことで純度の高い酒母ができるのですね。
乳酸菌にはもう一つ大切な役割がありました。
清酒酵母や乳酸菌の発酵によって乳酸はつくられます。
「ところで乳酸って味があるの?」
「う~ん…あるとしたらヨーグルトやカルピスみたいに少し酸っぱそうなイメージよね……。」
なんて声が聞こえてきそうです。
乳酸は酸性ですのでお察しの通り少々酸っぱいのです。だだ、クセのない柔らかみのある酸味です。この酸味こそが日本酒の味わいをグッと引き立てていることは、初めて聞く方も多いのではないのでしょうか。乳酸に限らず酸性物質が一切ないと、ただの甘いアルコール液になってしまいます。
美味しいお酒を造るには、ほどよい酸味が必要なのですね。
人と人をつなぐ素敵なお酒を!
すべての方々に日本酒を楽しんでいただくことを目標に今後ともまっさんの日本酒かるたをどうぞ宜しくお願いいたします。
それでは、第5弾