
2016.11.2
まいど!ゆーきです。
台湾へは行ったことがありますか??
親日国で知られる台湾は、旅行先としても人気ですよね。逆に、海外からの観光のお客さまで、蔵に見学にみえる台湾人も結構多いんです。
はい、行ってきました。台湾。もちろんお仕事です。
日本銘酒祭2017、やっとこさ参加できました。
というわけで、今回はお土産トークにお付き合いくださいませ。
はじめて台湾へ行ってみて、タクシーの安さよりも、まずびっくりしたのは食文化の違いです。
見た目はいわゆる中華料理。油を使って大火力で一気に調理したような、あの感じ。あの「テリ」が食欲をそそりますよね。
でも、やっぱ本場って違う。
後味というか、香りがとても強いんです。
初日に輸入元の開元食品さんたちと行った人気店「龍都酒楼」は、広東料理のお店でした。1か月先の予約も取れないような、超絶繁盛店。そこで出てきたお料理は、たしかに美味しいんです。ぼくは全て平らげましたが、やはりあの香りが漂っていて、ご一緒した酒蔵さんの中には苦手だという人もいらっしゃいました。
その時点では、広東料理のクセなのかな、と思いつつも美味しくいただきましたが、ホテルの近くの繁華街も全部そのにおい。ファミマもセブンも全部そのにおい。ホテルの朝食も、新幹線の駅弁も全部そのにおいでした。さすがに気が付いて、ああ、これがTaiwaneseか、と。
使っている油なのかなと思っていましたが、現地の人に伺ってみると、どうやら香草?漢方?の香りのようです。たしかに、いわれてみればシナモンの香りに似ているような気がします。
そんな、香りが強くて、濃厚なスープで味付けしたこってり料理がお好きな台湾の人々は、甘口のお酒が好きなようです。
今回ぼくが持って行ったのは、この5種類のお酒。
A.純米大吟醸七福神
B.大吟醸てづくり七福神
C.純米吟醸菊の司
D.辛口純米酒七福神
E.純米酒平井六右衛門
人気順にならべると、A>B≧E=C>>>>>>>>D、でした。圧倒的なフルーティ、甘口人気です。辛口純米酒がかわいそうでした。
ぼくなりの分析ですが、台湾の日本酒マーケットは「純米大吟醸酒or激安普通酒」の極端な展開になっています。今回のイベントでおおよそ700名くらいのご来場があったとはいえ、台湾の中の日本酒シェアというのはまだまだ微々たるものです。今回ご一緒した獺祭さんは大人気でしたが、吟醸酒から日本酒に触れた人はやっぱりフルーティ好きです。吟醸酒と名のつく酒は、ほぼ無条件で支持されていました。
また、菊の司は造っていませんが、スパークリングやリキュールなども人気です。そいういう意味で、やはり「飲みやすさ」というのは万国共通なのでしょうか。
一方で、各蔵が持ち寄った定番酒は非常にバリエーション豊かで、これはイベントならでは。各蔵の心を体現したさまざまなコンセプトのお酒が並ぶ中で、それを飲むお客さんの反応はさまざまでした。
話をしていると、大吟醸が美味しいのは当たり前、という雰囲気はもうすでにあるそうで、コスパを意識してお酒を飲み比べるお客さんが多かった気がします。そうなると、「そこそこ安い×フルーティ×純米大吟醸」を往く獺祭さんはもはや次元が違う人気なのですが、とはいえ未発達な市場ですから、思ったほどブランド志向というのはありません。出展した13蔵のお酒をフラットに目利きしていました。
あとは、やはり知らない世界ですから、お酒にストーリーに対してめちゃくちゃ良いリアクションをくれます。台湾の人はとてもフレンドリーで、親身に話を聞いてくれるし、写真もたくさん撮られました。
貿易上の課題はあるにせよ、日本酒が台湾の人々の生活に近くなっているような気がします。今後に期待が持てる遠征でした。
イベントの最中、思ったことがあります。
台湾の人たちって、お酒を飲んでもお行儀が良いんです。
まあ、中には、いい気分になって通訳の女の子に絡んでくるおっちゃんも何人かいましたが、かわいいものです。日本での酒イベントだったら、絶対にその辺でグラス割ったり、寝たり、暴れたりするお客さんがいるものです。台湾には全然いませんでした。
いや、台湾人はなんて紳士な飲み方をするのだろう。
そんな風に思っていました。真相がわかったのはイベント最終日の打ち上げでした。
お店について着席すると、台湾ビール用のグラスとショットグラスが置いてありました。
おいおい、酒蔵集まってんのにショットグラスかよ、と。もうちょっと大きいグラスでじっくり飲みたいねえ。
なんて思っていたその時のぼくの後頭部を思いっきり一升瓶でぶん殴ってやりたいです。ご存知の方も多いでしょう、開始まもなくして宴会場のあちこちから聞こえてきた「かんぺー」の声、今にして思えば、さしつさされつの戦いのゴングだったのです。
台湾で「かんぺー」といったら乾杯のことです。日本だったら、宴会の最初に器をコツンと鳴らして、ちょっと飲んで、まあ拍手ぐらいしておいて終わりですよね。台湾では「乾杯」の字のごとく、グラスを空けなきゃならないのです。そして台式乾杯は飲み会中に無限に繰り返されます。
はじまった「かんぺー」ラッシュ。猛烈に歓迎されました。もちろん、酒に強くないぼくをつぶしてやろうなんてつもりは、たぶん全くなかったでしょう。当然、乾杯した者同士、一緒に酒を干さなければなりませんから。聞いてみると、台湾の呑兵衛はビールかハードリカーばかりを飲むそうでウイスキーや紹興酒、高粱酒(こうりゃんしゅ)というアルコール度数が60%もある焼酎をショットでくいくいやるんだそう。そりゃ強いわけだ。なぜか日本人の酒蔵同士で「かんぺー」がはじまり、無事、ぼくは撃沈しました。
来年呼んでもらえたら、「かんぺー」には気を付けよう。今回、一番勉強になったことかもしれません。
どうせ行くからには、とテンション五割増しで楽しんできました。
見知らぬ土地での出来事はどれも新鮮で、そんな中で見える日本酒の姿もまた、いつもと違ってまたかっこいいんです。
ふらっと入ってみたホテル近くのスーパーに菊の司が置いてあったり、お店で飲んだ七福神の写真を見せてくれたり、販売できなかった平六をどうしても欲しいからって一升瓶をバックに入れて持ち帰ろうとされたり。台湾のパワーをちょっとだけ分けてもらった気がします。
今年の造りはすでに始まっていますが、さらに気合が入りました。
貴重な経験をくださった、スタッフのみなさまに感謝します。謝謝!
では。
現地のニュースサイトでも取り上げていただきました。