無病息災の一年を。意外と知らない「お屠蘇(とそ)」のこと
無病息災の一年を。意外と知らない「お屠蘇(とそ)」のこと

2016.12.28

無病息災の一年を。意外と知らない「お屠蘇(とそ)」のこと

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まいど!ゆーきです。

お屠蘇(とそ)ってご存知ですか??

「正月に飲む日本酒のことでしょ、知ってるよ」

はい、ブブー。違いまーす。

まあ、意味的に全然違うという事でもないのですが、ホンモノのお屠蘇って、お酒とみりんと漢方でつくる飲み物のことなんです。朝からお酒を飲めるのは正月だけの楽しみですが、実はお酒を飲むだけではただの「朝から呑兵衛」。ちゃんとお屠蘇で家族の安全を祈願してから、堂々と一升瓶に手を付けましょう。それが正しい「朝から呑兵衛」です。

というわけで、今回はお屠蘇特集いってみましょう。

 

酒と薬草のパワーで悪いヤツを退治!お屠蘇の由来とは

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お屠蘇の「屠(ほふ)る」という字は、敵を打ち負かすとか、滅ぼすって意味ですよね。

何をってことなのですが、諸説あります。お屠蘇の「蘇」が邪鬼を意味していてそいつを退治するという説と、とにかく悪いものを屠って生命力を「蘇らせる」という説などがあるそう。過去の記事「日本酒で運を開け!意外と知らない「鏡開き」文化」や「処女にしか造れない??日本酒の起源「口かみの酒」とは」などでも触れましたが、神聖な酒の力で悪いヤツを退治するという考え方は昔から受け継がれてきたものです。鏡開きやお神酒(みき)など、酒そのものが浄化作用をもっているというイメージは日本人にとってなじみの深い考え方ですよね。

お屠蘇の文化は、その昔中国から伝わってきたとされています。平安時代に唐より伝えられ、主に貴族たちの正月行事に使われていたそうです。もともとは、中国の風邪の予防薬であったといわれていて、お屠蘇は山椒(サンショウ)・細辛(サイシン)・防風(ボウフウ)・肉桂(シナモン)・白朮(ビャクジュツ)・桔梗(キキョウ)など10種類くらいの漢方薬でつくられます。

屠蘇漢方

これらの漢方はそれぞれに健康作用があるとされていて、山椒や白朮、肉桂の健胃作用なんかは年末年始のハードな食生活にぴったりですよね。無病息災よりも、お正月のごちそうのために開発された飲み物かもしれません。ただ、医学的に根拠がある量の10%程度しか使わないので、効果があるかどうかは気持ちの問題です。

 

ティーバッグで簡単♪世界にひとつだけのお屠蘇のつくりかた

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いくらなんでもクソ忙しいこの時期に漢方を一個ずつそろえていくなんて、できませんよね。そんな方には、ティーバッグタイプの「屠蘇散(とそさん)」が便利です。むしろ、こだわるなら日本酒とみりんでしょう。年に一度ですからね。

お屠蘇に使うお酒は、吟醸酒などの香りが高いタイプはおすすめしません。漢方の香りや苦みとケンカしてよくわからない味になります。それから生酒も避けた方が無難でしょう。みりんと合わせることも考えて、すっきりした辛口のお酒がいいかと思います。そのあと飲むでしょうから本醸造酒あたりがよいでしょうか。それから、キレイな味わいの純米酒もいいかと思いますが、あまりふくよかなタイプを選んでしまうと、思った以上に味が重くなりがちです。

まさかとは思いますが、台所の調味みりんは使わないですよね。正月ですから、ちゃんと本みりんにしましょう。いわゆる「みりん風調味料」にはアルコールが含まれないので味がブレるし、「みりんタイプ調味料」には食塩が入っていて飲めません。いや、飲めるけどまずいです。何言っているかわからない人は、とにかく本みりんにしておけば間違いありません。買っておいて料理に使えば、家族も喜んで一石二鳥です。

みりん

お屠蘇のつくりかたはいたってシンプル。日本酒とみりんに漢方を漬け込むだけです。

まず、日本酒と本みりんを合わせて300mlくらいのベースをつくります。お屠蘇はがぶ飲みするものではないので、盃で一人一杯まわるぐらいで十分でしょう。この時、酒が多ければ辛口みりんなら甘口というように、分量によってできあがりの味わいが変わってきます。ここはお好みですが、みりんは調味料にも使われるくらい味が濃いので、先に酒の量を決めてからみりんで調節するのがおすすめ。だいたい「酒:みりん=7:3」くらいが飲みやすいと思います。それでも結構濃いはずなので、50mlくらい「差し水」すれば味が軽くなって、アルコールも12度ぐらいになるので飲みやすくなります。

そこに、屠蘇散を漬け込んで6~8時間でできあがりです。漢方を漬け込みすぎると、エグみがでたり濁ってしまったりと好ましくありません。余裕があるなら、取り出したあと一晩落ち着かせた方が味が馴染んでまろやかになりますよ。

 

清らかに一年をスタートしよう!お屠蘇の作法とは

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まずは若水(わかみず)といって、新鮮なお水で身を清めましょう。元旦参りに行くなら、神社のお水を借りればばっちりですね。そうしてお家の神棚や仏壇にお参りをして準備OK。

正式なお屠蘇は三段盃を使用しますが、正月にふさわしい酒器なら神様も許してくれるでしょう。まずはお天道さんの方角(東側)を向き、若い順にお屠蘇に口をつけていきます。なぜ若い順かというのも諸説あって、若い人の元気を年長者にわけるという説や毒見の名残であるという説などがあります。

お屠蘇を飲めば「一人これを呑めば一家病無く、一家これを呑めば一里病無し」ともいわれていて、家族円満、世の安寧を祈る穏やかな心持ちが大切です。お年玉が足りないとか、おせちがしょぼいとか、こんな酒じゃ酔えねえとかいう邪悪な気持ちでお屠蘇に臨めば、屠られるのは自分かもしれません。

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ちなみに、ご紹介した方法でつくったお屠蘇はアルコールが含まれるので未成年が飲むと違法です。いいじゃねえか、正月なんだし、少しだし。ぼくもそう思いますが、法律ですからしょうがないですよね。お屠蘇自体は儀式的な意味合いの方が強いので、口をつける真似でも大丈夫ですし、つくったベースを煮沸してアルコールを飛ばせば問題ありません。なにより、「一人これを呑めば一家病無く、一家これを呑めば一里病無し」ですから、子供たちの無病息災を守るのは呑兵衛の仕事です。ですから大いに飲みましょう。

 

いかがでしたか??

ちょっと飲んでみたくなりませんか。

お屠蘇を飲んで、また一年元気にやっていきましょう。

では。

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平井佑樹 HIRAI YUKI

岩手県最古の酒蔵、菊の司酒造16代目蔵元(予定)。
地元盛岡で生まれ育ち、明治大学を卒業後ブーメランで蔵入り。
日本酒「菊の司」「七福神」の他にオリジナル「平井六右衛門」を醸してます。
1991年10月12日生まれ。たまの休日は少年野球とデジイチさんぽ。
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