2020.02.18
こんにちは!
日本酒は世界の醸造酒の中でも20度前後の高いアルコールを生成できる珍しいお酒ですが、「温度の変化」で楽しめるという他の醸造酒にはない嗜み方があります。
飲食店の日本酒メニューには「冷・燗」というように、一種類のお酒でも提供温度を自身で選ぶことができますよね。これは年がら年中、季節を問わずセレクトできるものであり現在まで続く日本の貴重な酒文化といえます。
「今日は寒いから熱燗できゅーっと一杯いくか!」
なんていう粋な声もめっきり聞かないこのごろですが、日本酒を体温調整や気候に合わせた飲み分けで皆さん落着いていませんか?
日本酒は「冷たい」か「温かい」かの二択だけで終わらせるには勿体ないお酒。
予想以上に懐が深く、温度帯によってさまざまな表情を見せるのです。これがまた面白いことに、各温度に日本の風情ある呼び名が付けられているのです。
というように、雪冷え~飛び切り燗まで10段階もの温度帯が存在するのです。覚えるのにひと苦労ですが…実に面白い!!
吟醸香のあるお酒はお燗すると香りが舞いすぎてしつこくなるため冷酒が好まれますが、同じ吟醸タイプでも常温や日向燗(約30℃)、人肌燗(約35℃)ぐらいでまろやかさや穏やかな味わいを教えてくれるものもあります。
また、アミノ酸などのうまみ成分が多く含まれる精米歩合70、80%の純米酒やキリっとした本醸造酒はお燗をするとやわらかい甘みを感じることができます。逆に雪冷え(約5℃)でキンキンにして飲んだらどうでしょうか?やってみて気づくことがあるのです。
決めつけず実験する。「おや…」と思ったら実験する。楽しむコツはこれだけです。
記事を書いているうちに、僕も温度探検をしたくなったので実際にやってみようと思います。個人的には酸を基調とした速醸生?造り「平井六右衛門 遊山(30BY)」が気になっているので、この1本をこよなく楽しみましょう。
本日は盛岡市にお店を構える、ふれあい酒場「がじゅまる」さんにお力添えいただきました。(ご協力ありがとうございます!)
“☆ふれあい酒場「がじゅまる」さんの店舗情報はこちら
(もちろん試飲後には、大将お薦めの菜彩鶏の手羽先をはじめ美味しいお料理と日本酒を頂きました。)
住所 / 岩手県盛岡市中央通1丁目11-7
TEL / 019-677-8350
営業時間 / 昼の部11:45~14:00 (月・火・水のみ)
/ 夜の部 17:00~22:00 (日・月・火・水) 17:00~0:00 (金・土)
定休日 / 木曜日
※営業時間・定休日は変更となる場合がございますのでご来店前にご連絡ください。”
まずは常温の20℃から。
ちなみに20~25℃が「常温」と呼ばれる理由は、昔の土間の温度に由来しているそうですよ。最初の温度は、基準となるので真剣に味わいます。
もともと香りの強い酒質ではないのですが、香りははっきり出ています。酸味と苦味は程よく感じました。アルコールからくるキレは中くらいで、返り香が好印象といった結果です。
湯煎燗で徐々に温度を上げていきます。
30℃日向燗(ひなたかん)、35℃程度の人肌燗(ひとはだかん)に挑戦です。どちらも酸のカドカドしさが無くなってきた模様。そして常温時に比べ甘味が若干感じられてきました。早速、味わいに変化が出てきましたよ。
さらに温度上げ。
ぬる燗(40℃)、上燗(45℃)、熱燗(50℃)です。口当たりが非常に良くなりました。酒器をぐい呑みへ変更したことも関係あるかと思いますが、酸味が舌に残らずさらさらとした感じです。50℃程度の熱燗になるとアルコールが目立ちだしてきます。そのせいか、これまでにないキレが出てきました。好きですこの感じ。
続けと飛び切り燗(55℃)を賞味します。
一言でいうと「まるい」。甘味、酸味は強めですが、酸のカドは取れすぎというくらい取れてしまいました。また苦味は何処へ?ってぐらい感じられませんでした。飲み疲れはしないと思います。
それでは終盤に口内温度とはかけ離れた、雪冷え(5℃)、花冷え(10℃)、涼冷え(15℃)を利いてみましょう。
香りに関しては、5~10℃までは感じにくいと思いました。甘味は抑えられ、酸味は鋭くなり後半キレがあります。余韻は温度が上がっていくにつれ感じられ、なにより口内温度と冷たいお酒という温度差を楽しめるという点が面白いことに気付かされました。
こんな感じでさまざまな温度帯で楽しめたのは良いのですが…さすがに酔っぱらいますね。
このように酔っぱらって忘れないためにも、「温度グラデーションカルテ」なるものを作って挑んだ今回。本日の1本【平井六右衛門 遊山(30BY)】のカルテはこちら。
まっさん特製の温度グラデーションカルテは下のバナーから無料で印刷できますので、ご活用してくだされば嬉しいです。
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ですが、嗜好品であるお酒はいっそう嗜好欲を満たすものが今後求められることでしょう。しかし、求めるだけではなく飲み手自身が試みることで未知の領域を探し当てるという楽しみ方もできるかもしれませんね。
それを誰でもできるのが日本酒の良いところだと僕は思います。
温度にデリケートなお酒だからこそ、味わいにグラデーションがでる。
ここだ!と思う温度帯を見つけた時にはすでに酒瓶の中はすっからかんなんてことも(笑)。
これが贅沢にお酒を楽しむことかもしれませんね。
「和の心をもって、酒造りの心とする。」
今後とも日本酒の更なる周知に向け進んでいきたいと思いますので、ヨロシクお願いします。
それでは、23弾いきます!