
2016.10.5
まいど!ゆーきです。
突然ですが「鏡開き(かがみびらき)」ってご存知ですか。ぼくは知っています。
よく、結婚式とか竣工式のお祝いで酒樽のフタを木槌で叩き割る、アレです。
「よいしょ!よいしょ!」でぱっかーんと開いて、木のマスで乾杯。ぼく自身も何度かやったことがありますが、叩く方はなんだか楽しいし、その場は盛り上がるしでなかなか良いもんです。
でも、
「やり方が分からない!てか誰に注文すればいいの??」
「あれ何リットル入ってるの??あんなに飲めないよ!」
「めっちゃお金かかりそう。そんなに予算ないし…」
なんだかんだでよくわからない鏡開き。
ということで、今回は鏡開き特集いっちゃいましょう。
鏡開きと聞いて、お正月の鏡餅を思い浮かべた人も多いでしょう。もちろん、どちらも鏡開きです。
「鏡」とは「鑑」とも書き、あの人は蔵人の鑑だ、なんていう風に何かお手本(鑑みるべきもの)的な意味を含んでいますよね。
これは日本古来の神話の中で天照大神(あまてらすおおかみ)という最高神が、「此の宝鏡を視まさむこと、当に吾を視るがごとくすべし。与に床を同くし殿を共にして、斎鏡をすべし(天孫降臨より)」つまりこの鏡を私自身と思って大事にしなさい、という神勅をしたことに由来する日本の文化であるという説があります。神社のご神体が鏡なのは、日本人にとって鏡が特別で神聖なものであったからというわけです。
昔の日本人にとって「神様の仕業」といえば、米です。
米は豊かさの象徴。五穀豊穣を祈願する、誰に祈るかっていったら神様です。雨乞いは、誰に雨を乞うているのか、ということです。米が食えるのも、酒が飲めるのも、餅で年を越せるのも、神様のおかげだったのです。
少し回りくどくなってしまいましたが、そういうわけで、神様との接点である「鏡」として、酒と餅は昔から神事に欠かせないものとして扱われてきました。
だから、「割る」という忌語を避けて「(運を)開く」と言うし、鏡開きに刃物はご法度なのです。
日本人の言葉へのこだわりはすごいですよね。この話が広まれば、「まじパねえw神ww」とか言ってる女子高生が明日から「まじパねえw鑑ww」とか言い出すかもしれません。
鏡開きに使う酒樽にはいろんな種類があります。
まずは容量。酒樽らしい菰(コモ)を巻いた樽は1斗から。「斗(と)」というのは昔の単位で「升(しょう)」の10倍です。だから1斗は18リットルですね。
1斗樽で鏡開きしてカッコつくのはせいぜい2人くらいです。3人だとちょっとせまいかも。
なので、鏡開きするなら2斗は欲しいですよね。4斗準備できたら立派です。
「でも2斗って36リットル、4斗で72リットル!そんなに日本酒飲めないよ」
そんな人には「上げ底樽」がおすすめ。上げ底樽なら、総量のだいたい半分のお酒が入るので、18リットル入りの2斗樽で鏡開きが可能です。
日本酒の樽は、杉や樫の木材を竹の皮で縛った、非常に強固なつくりになっています。そのため片手で振り回せるような、おもちゃみたいな木槌で「よいしょ♪」と叩いたくらいではピクリともしません。実はセレモニーの鏡開きは事前に鏡開かれた樽を使って行う鏡開きごっこなのです。ややこしいですね。
鏡開きを行うためには、まず酒樽を開けなければなりません。
神様に向かって刃物はもちろん、バールをあてるなんてもってのほかですので、カマボコ板と木槌で根気よくやりましょう。
準備するもの:カマボコ板、木槌
①まずは上の大きな縄を「ほどき」、その下の細い縄も「ほどき」ます。
②ほどいた縄と樽に巻いてある菰(コモ)を樽の間にしまいこみます。
③タガ(樽の上部を縛り上げている竹の皮)を下の段から、カマボコ板と木槌で下にずらします。
④カマボコ板と木槌で酒樽のフタをずらします。
⑤フタの真ん中の切れ目を挟んで対角線上のフチを木槌でおもいっきり100回くらい叩きます。
⑥割れます。
⑦フタを整えて準備OK。
ご存知の方はつっこみたくて仕方がないと思います。そうです、こんなことをやっていたらパーティはとっくに終わってしまいます。
もちろんこれが伝統的な、由緒正しいやり方とされていますが、今どきの鏡割りはハサミ(カッター)とバールとハンマーを使います。文明の進化ですね。木槌で何百回もぶん殴るのと、バールでてきぱき開けるのと、どちらが神様に失礼でないかはご判断にお任せします。
おおまかなやり方は一緒ですが、youtubeで動画を見つけたのでご紹介しておきます。
これでも、慣れている人で10分以上はかかります。初心者の人は大袈裟でなく1時間は見ておいた方がいいでしょう。
ちなみに、正式な方法はこちらで。
■樽酒の開け方(丁寧バージョン)|鏡開き館
>>>http://kagamibiraki.net/?tid=2&mode=f8
鏡開き、楽しいのですが説明した通り結構大変です。
ぜひお近くの酒販店に聞いてみましょう。懇意にしている酒蔵と調整してくれるかもしれません。あとは開くだけ、の状態にしてくれる場合も多いのでおすすめです。
最近はネットで注文できるお店もあります。
うちの七福神の樽もお取り扱いいただいてますのでこちらがおすすめですよ。柄杓や木槌などのレンタルもしてるので便利ですね。
■樽酒専門店「鏡開き館」
鏡開きに使う樽酒は、ほとんど受注生産です。ご注文をいただいてから樽に酒を詰め始めるので、1~2週間余裕をもって問い合わせたほうが安心です。
また、レンタル品の木槌や柄杓を放置しておくと間違いなくカビの原因になります。水で洗って陰干ししておくなど、大事に扱いましょう。
いかがでしたか??
鏡開きのいいところは、とにかく盛り上がること。
なんでもいいから順番に鏡開きでお祝いするパーティも楽しそうですよね。
ぜひ、ここぞという場面で取り入れてみてください。
では。