人はなぜ「シメのラーメン」を食べたくなるのか
人はなぜ「シメのラーメン」を食べたくなるのか

2018.07.4

人はなぜ「シメのラーメン」を食べたくなるのか

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まいど!ゆーきです。

突然ですが、「シメのラーメン」って好きですか。ぼくは大好きです。

なぜなんでしょう。居酒屋でたっぷりと飲み食いしたはずなのに「よし、シメ行きますか!」とか言い出す人って必ずいますよね。「なんかお腹空かない?」っていう、こちらの同情を誘う高等テクニックの使い手もたまにいます。お腹空いてるわけがないのに。

繰り返しますが、ぼくもシメのラーメンは好きです。特にこってり系、豚骨派です。いわゆる「家系ラーメン」が好きで、最近は我慢を覚えましたが、やはり猛烈に食べたくなる時ってあるんですよね。深夜帯のラーメン屋さんってめちゃくちゃ混んでるので、シメラーメン中毒はかなり蔓延していると推察します。

今回は、人はなぜ「シメのラーメン」を食べたくなるのか、やっていきたいと思います。

飲み会後の空腹感は幻?

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お酒を飲むと、ついつい食べ過ぎちゃう人って結構いると思います。雰囲気が楽しくて食べちゃう、というのもありそうですがアルコールには食欲を増進する作用があるといわれています。食欲増進につながる理屈はもちろん研究されていて、今回は2つのアプローチでご紹介します。

1つ目は気分の高揚によるもの。お酒を飲むと、一般的に気持ちが盛り上がりやすくなりますよね。楽しい気分になり、ある種の自制心が開放されます。そうなると、食べたいものを食べたいだけ食べたくなる欲求がどんどん高まっていきます。

よく居酒屋へ飲みに行った時、めちゃくちゃ料理を注文する人っているじゃないですか。まさにこのパターンです。彼らは人一倍に飲み会を楽しんでいるのです。

そして2つ目が血糖値の低下です。

不思議じゃないですか?お酒を飲めば飲むほど血糖値が低下していくのです。

お酒を飲むと胃袋で吸収された後、肝臓で優先的に分解されます。アルコールは肝臓のアルコール脱水素酵素(ADH)でアセトアルデヒドという物質に酸化させられます。このアセトアルデヒドは有毒で動悸や頭痛、吐き気など、いわゆる「酔い」を誘発する成分。二日酔いはアセトアルデヒドがまだ体内に残っている状態です。そしてアセトアルデヒドは2種類のアルデヒド脱水素酵素(ALDH)によってさらに酸化し、酢酸(さくさん)という成分になります。その後、酢酸は筋肉や心臓などで熱エネルギー、炭酸ガス、水に分解されるのです。

このアルコール分解に使うエネルギーが糖分です。

つまり、アルコールを摂取するほど糖分が使われ、血糖値が下がるために「お腹が減った」と思い込んでしまうのです。そしてこれこそが、「シメのラーメン」が食べたくなる原因なのです。

「シメのラーメン」は足りなくなった血糖を補う身体の欲求

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飲み会の後にラーメンを食べたくなるのは、アルコールの分解で消費した糖質を補うためではないか、と言われています。

糖質とはざっくり言うと炭水化物です。だから、ラーメンに限らずごはんもの、うどん、パスタ、粉もの(お好み焼き、もんじゃ焼きなど)もそれにあたります。ではなぜ、シメはラーメンなのか。いくつか理由を考えてみました。

栄養面から見てみましょう。アルコールの分解には糖質の他にアミノ酸類やグルタミン酸などの旨味成分、亜鉛、ビタミンB1を必要とします。シメに好まれる料理はこれらの栄養を含んだものが多い傾向にあります。その中でもラーメンに多く含まれるが「イノシン酸」です。

イノシン酸は、昆布に多く含まれるグルタミン酸、椎茸に多く含まれるグアニル酸に並び「三大旨み成分」として有名な有機酸のひとつです。特にカツオや肉に多く含まれるため、それらの食材でスープを採った豚骨や魚介系ラーメンにはイノシン酸が豊富に含まれています。お肉や麺には、糖質の代謝に必要なビタミンB1(チアミン)も多く含まれています。家系最強ですね。

またラーメンの麺には「かんすい」が練りこまれています。かんすいとは、やわらかさや弾力を引き出すために小麦粉に練りこまれる、炭酸ナトリウムや炭酸カリウムを主成分とするアルカリ塩水溶液です。アルコールを摂取すると、身体は酸性が強くなります。そのため、アルカリ性のかんすいが練りこまれた麺を取り込むことで、中性に近付けるというわけです。ちなみに「かんすいは体に悪い」と言われたのは昔の話。

また、ラーメンはスープと一緒に楽しむ料理。飲んだ後でも食べやすい、というのも人気の秘密でしょう。

でもやっぱり身体には良くないよね

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なるほど、シメのラーメンが食べたくなるのは身体が欲しているのだからしょうがないですね。でも、こんなこと言われるまでもないでしょうが、身体には良くありません。

まず、肥満の原因になります。飲み会のシメですから、時間帯が遅い。消化が遅れ、身体にも負担がかかります。繰り返しになりますが、それなりに飲み食いした後の空腹感は、アルコール分解のために血糖値が低下したことによる、幻です。優先的にアルコールが分解されるため血糖値が下がるものの、胃袋には未消化のものがまだ残っています。そこにラーメンの追い打ちをするわけですから、当然ながら食べすぎです。

それから、気を付けなければいけないのが塩分。一般的に、ラーメンのスープにはおよそ4グラムの塩分が含まれているそうです。日本高血圧学会の基準で一日6グラムまで、WHOでは一日5グラムまでと塩分摂取量を推奨しているので、ラーメン一杯でほぼそれに近い塩分を摂取してしまうことになります。ちなみに僕が好きな家系ラーメンは一杯7グラムだそうです。まじで最強ですね。

塩分を摂りすぎると、高血圧やむくみの原因にもなります。特にシメのラーメンでは「スープは飲み干さない」ことをおすすめします。

身体を労わってより良いシメ・ラーメン・ライフを

理屈は分かっていても、ラーメン食べたい人はたくさんいると思います。実際、きっと翌日にはラーメン食べたことすら覚えてないんだろうな、っていうかなり完成された状態でどんぶりに顔面ダイブしている「ラーメンゾンビ」に遭遇したことも、一度や二度ではありません。

もし、どうしてもシメのラーメンを食べたいなら、まず飲み会では控えめに食事をすることです。特に揚げ物系、ごはんもの系は控えるべき。そして翌日は慎まやかな食事を心がけましょう。ワカメやシジミなどの食材を使った、シンプルな和食が良いそうです。

ぜひ長く楽しいシメ・ラーメン・ライフを楽しんでいきましょう。

では。

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平井佑樹 HIRAI YUKI

岩手県最古の酒蔵、菊の司酒造16代目蔵元(予定)。
地元盛岡で生まれ育ち、明治大学を卒業後ブーメランで蔵入り。
日本酒「菊の司」「七福神」の他にオリジナル「平井六右衛門」を醸してます。
1991年10月12日生まれ。たまの休日はデジイチさんぽ。
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