神様がもたらす神秘?特別なお酒「御神酒」のはなし
神様がもたらす神秘?特別なお酒「御神酒」のはなし

2018.08.24

神様がもたらす神秘?特別なお酒「御神酒」のはなし

このエントリーをはてなブックマークに追加

RSS

bnr_fuhka

はじめまして!

山形大学農学部食料生命環境学科4年の片岡風香です。

今月よりインターンシップの一環として「きくつかこらむ」でのコラム掲載をさせていただくことになりました。

普段は植物の生育コントロールについて大腸菌や酵母の遺伝子組み換えを用いた実験を日夜行う根っからの理系ですが、本コラムでは歴史や文化、古典、時々科学をまじえながら「食卓の外の日本酒の話」をしていきたいと考えております。なんで理系なのに歴史や文化の話をするかって?私は理系女子ですが、趣味は読書にカメラに古物鑑賞と文系寄りなんです!それでは、理系なんだけど文系好きの風香による小話、暫しお付き合いの程をよろしくお願いいたします。

盛岡八幡宮秋の例大祭

201808_01

さて、もうすぐ岩手を代表する秋祭り、「盛岡八幡宮秋の例大祭」の季節です。盛岡八幡宮は今から約300年以上前、延宝8年に第29代南部重信公により建立された、健康長寿、子授けや安産、農業、商業、学問など住民の生活と関わりあう神様を多く祭る神社です。

盛岡八幡宮は年間を通じて多くの行事が行われていますが、中でも9月に行われる例大祭は4日3晩に渡り行われ約10万人もの参拝者が訪れる大規模なお祭りとなっています。

盛岡城下を練り歩く山車(だし)や、疾走する馬上から的に鏑矢を射る神事・流鏑馬(やぶさめ)など見どころがたくさんあることで有名です。私も幼き頃より出車に乗る友人を応援しに行ったり、父と共に流鏑馬に歓声を上げたりなど思いで多き祭りでもあります。山車も流鏑馬も神様に捧げ奉る大切な催しですが、もっと神様に密接に関わるキーアイテム、「御神酒」の存在を皆さんはご存知でしょうか?今回は神秘に満ち溢れる「御神酒」について紹介していきたいと思います。

お祭りには欠かせない?御神酒の役割

cont-otoso_img003

御神酒は「おみき」と読み、その由来は酒を意味する「酒(き)」に尊敬語の接頭語「御(み)」をつけた「みき」(酒の丁寧な言い方)にさらに接頭語の「御(お)」をつけて「おみき」と呼ぶようになったことにあるとされています。

「おみき」という音だけなら聞いたことがある、という人も多いのでは?一般に、「おみき」は酒そのものを指し、「御神酒」と表記した場合は神事に使用する酒を指すそうです。
では、これほどまで丁寧な言葉で表されている御神酒とはなんぞや?

御神酒とは御饌(みけ)として神前に供えられるお酒のことです。このお酒は「神に供えらえ霊が宿ったものをいただく」という意味で、祭礼の終了後に参拝者に振る舞われます。神様と同じものを口にして御利益をいただく、という意味もあるそうです。お墓参りの際、墓前に供えたものをいただくのも同じ意味があります。御神酒には日本酒が使われる場合が多く、盛岡八幡宮の例大祭でも境内に県内各地の酒蔵から供えられた菰樽を見ることが出来ます。

ここで更に気になることが。何故お酒を神様に供えるのでしょうか?水でもお茶でもなくお酒が供えられるのには少々面白い理由があります。

お酒は神様が造るもの?

昔々、まだ発酵学や微生物の存在が確認されていなかったころ、酒を造っていた人々は「醸すという行為は人間による作為的なものではなく、自然の見えない力=神によって行われる」と考えていました。このことから、神様が造ったお酒は清らかな物、神様の領域に近いものとして神聖視、特別視される物となりました。

また、お酒を飲むと個人差はあれど「酔う」という状態になります。「酒に酔う」とはアルコールが血中にまわることで意識が昂揚し、平常時とは異なる精神状態になることを指します。昔の人々はこの効果を一種のトランス状態とみなし、酔うことで神様の領域に近付く、神と一体になるとの意味合いを込めて神事にお酒を用いたともいわれています。お酒の持つ不思議な力を神聖視する姿勢が、現代の神事にも深く息づいているのですね。

201808_02

さて、神様とお酒の関係性、いかがだったでしょうか?神社に奉納されるお酒、神事で用いられる「御神酒」には、美味しいお酒を造ってくださった神様への感謝、また神様から賜った御利益を皆に分け与えるなどの素敵な意味を持ちます。お祭りでの神社への参拝の際は、一献、頂いてみるのも良いかもしれませんね。神様が関わる日本酒の話はまだまだあるのですが、それは次回以降のお楽しみに。

これから月に1回ほど「理系女子が説く文化的観点から見た日本酒の話」と題しまして、食卓の外の歴史や文化にまつわる日本酒の話をさせていただきたいと思います。

それでは、今回はこのあたりで。次回もまたよしなに。

このエントリーをはてなブックマークに追加

RSS

おすすめ記事

神様がもたらす神秘?特別なお酒「御神酒」のはなし
片岡風香

山形大学農学部食料生命環境学科4年インターンシップ生。
普段は植物の生育コントロールについて大腸菌や酵母の遺伝子組み換えを用いた実験を日夜行う根っからの理系ですが、本コラムでは歴史や文化、古典、時々科学をまじえながら「食卓の外の日本酒の話」をしていきたいと考えております。

← 一覧へもどる