突撃!山形大学「日本酒シンポジウム」
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2018.12.29

突撃!山形大学「日本酒シンポジウム」

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こんにちは!インターンシップ生の風香です。

寒さも厳しくなり、連日の積雪で街もすっかり冬景色となりました今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか?私が住む鶴岡では積雪こそ多くはありませんが、吹き荒ぶ風にお鍋と熱燗が恋しい毎日を過ごしております。さて、今日のコラムはこんな寒さを吹き飛ばすほどの熱気あふれる山形大学の特別講義「日本酒シンポジウム」の参戦レポートをおとどけします。

山形大学農学部・日本酒シンポジウム

12月14日に山形大学農学部にて開催された日本酒シンポジウムは、庄内18蔵元のおいしい日本酒とその魅力を農学部の学術的見地により紐とき楽しむことを目的とした特別講演会です。

参加料わずか千円。学内の学生や教授のみならず、学外からも多くの方が参加される学内でも1,2の人気を誇る行事となっています。今年で6回目の開催となり、参加者も160人を超えるなど例年以上の盛り上がりを見せました。中には研究室に所属する全員で参加をするという気合の入った人々も!

私も例に漏れず、自身の実験を一時中断し、カメラ片手に参戦してきました!それでは今年のシンポジウムの様子をちょこっと紹介させていただきます。

1時限目 外部講師による特別講演

いかに日本酒を楽しむ会と言えども此処は大学ですので、まずは外部講師による日本酒についての座学勉強を行います。

今回は仙台国税局鑑定官室主任鑑定官 阿久津武広さん(写真左)による「IWC SAKE部門の審査」に関する講演、山形大学農学部副学部長 村山秀樹先生、酒田酒造協会会長 茨木髙芳さん(写真中央)、鶴岡酒造協会会長 渡曾俊仁さん(写真右)の3名によるパネルディスカッションの2本立てです。

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阿久津武広さんの講演では主に昨今の日本酒を取り巻く環境とトレンド、そして海外での日本酒コンペッションであるIWC、全米日本酒歓評会、ロンドン酒チャレンジ、アジア国際美酒コンテストなどでの審査方法について学びました。

最近の日本酒の流行りはズバリ「甘味」と「発泡性」!大吟醸酒など吟醸香(カプロン酸エチルや酢酸イソアミルなどによるフルーティーな香り)が強い甘口酒や、最近店先で多く見られるようになった「スパークリング日本酒」が国内外の、特に女性を中心に人気を集めているそうなのです。また、近年海外にて日本酒を評価する機関、ソムリエ、審査会などが増加し、日本酒の輸出量および海外での消費量は増加傾向にあります。日本酒の魅力が世界に広まる一方、日本人の日本酒消費低迷をどう改善していくかが今後の注目となりそうです。

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パネルディスカッションでは庄内地域の酒造会社が掲げる目標や課題についての話題が中心となりました。

東北に蔵を構える酒造会社の多くは、規模としては中小企業に属する少ない人数、設備での作業が中心となっています。そんな中、従事者の高齢化や今後の発展のために新規雇用の拡大、及び若い世代への技術継承が急がれるとのことでした。また最近は理系大学であれば醸造学科がなくとも、バイオサイエンス系の講義であれば発酵学、微生物学を学ぶこともできます。これらの知識を身に着けた農学部生の雇用獲得のため積極的なアプローチを行っていく事も重要なのではないか、との話題もありました。理系学部に対する社会の期待の高まりをひしひしと感じます。

また昨今は普通酒よりも吟醸酒、大吟醸酒の売れ行きが伸びていることから、単価が高いブランド酒販売へ事業を転換していく展望についても議論が交わされました。日本人の日本酒消費量低迷に伴い、日本酒はいつも食卓に並ぶ御供ではなく、ハレの日などに振る舞われる特別感のある物という印象が強くなっている傾向が見て取れます。国際的な興味が高まっている中、単価が安い普通酒を家庭向けに改良・製造するのか、はたまたブランド物に絞った製造販売を展開するのか…今後の展望のターニングポイントとなりそうです。

たしかに本学部において、酒造関連会社への就職はそれほど多くはなく、私が学校側に内定報告を行った際も驚かれたほどです。醸造学に関する講義が少ないこともありますが、一番の課題は「酒造会社が普段何を行っているかのイメージが持ち難い」ことにあるのではないでしょうか。

今後の人材不足、新規技術者の育成を念頭に置く場合企業側からの精力的なアプローチが必要不可欠であると思いました。また日本酒の消費量低迷に関しても同様に、今後の消費者となる若年層へのアピールは必須です。普通酒の普及促進、あるいはブランド化どちらにおいても単に「日本酒好きが集まるイベント」ではなく「日本酒に興味を持ってもらう為のイベント」が重要になってくるのではないかと考えさせられました。

2時限目 実習

講義の後は実習と際しまして、庄内18蔵元の日本酒の試飲会を行いました。

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先の講義の通り、今回の一番人気は「スパークリング日本酒」!普通の日本酒に比べアルコール度数が低く、糖類を添加することでジュースにも似た味わいのお酒となっています。日本酒が苦手にもかかわらず教授に引っ張られ参加を余儀なくされた同期のK君は「日本酒独特の癖のようなものが苦手で嫌煙していたが、これはシャンパンみたいで飲みやすい」と絶賛していました

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会場の全体的な様子を見まわしてみると、学生を含め比較的若い世代の方や女性は甘口の日本酒のほうへ、教授陣や年配の方は辛口の日本酒のほうへ向かう傾向が高いように感じられます。因みに私は会場内のお酒を端から端まで堪能した後、辛口の集団の中へ溶け込んでいきました。あつみかぶらを持参して。

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また、会場内にはK君のように「そんなに日本酒が好きなわけではないが、成り行き上参加した」という人々も少なからず見受けられます。そんな彼らも場内に居る「通」な飲兵衛たちに初心者にも飲みやすい日本酒やおつまみの食べ合わせなどをレクチャーされ、会が終わるころには「日本酒って美味しい」、「酒蔵に見学に行ってみたい」等々、日本酒に対して良い印象、興味を持ってくれました。

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ただ単純に日本酒を味わうのではなく、より多くの人に日本酒に興味を持ってもらう、日本酒を縁を結ぶツールとして発展させる。シンポジウム企画担当部は来年度の開催に向けてこれを目標にしたいと語ってくれました。


日本酒シンポジウムの参戦レポート、いかがだったでしょうか?

庄内では年に数回蔵元が集まる大きなイベントが開催されています。中でも大学という広く開かれ且つ人が集まりやすい場所を使った本大学の日本酒シンポジウムは、学術的な面も含み「日本酒に興味が薄い」層へのアプローチに非常に効果的であると私は考えます。飲む日本酒が苦手でも酒器やおつまみ、物語や歴史としての日本酒なら関心を持つ人も多いはず。(本コラムでは祭事、物語や熟語の成り立ちとしての日本酒に関する記事を掲載しています)

岩手でも若人、特に日本酒に興味が薄い人たちも参加しやすく、また興味を持ってもらえるような縁づくりのためのイベントを増やしていきたいですね!

それでは、今回はこのあたりで。次回もまたよしなに。

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片岡風香

山形大学農学部食料生命環境学科4年インターンシップ生。
普段は植物の生育コントロールについて大腸菌や酵母の遺伝子組み換えを用いた実験を日夜行う根っからの理系ですが、本コラムでは歴史や文化、古典、時々科学をまじえながら「食卓の外の日本酒の話」をしていきたいと考えております。

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