謎のお酒「七福神 非公開」(←商品名です。)
謎のお酒「七福神 非公開」(←商品名です。)

2019.03.20

謎のお酒「七福神 非公開」(←商品名です。)

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七福神「非公開」とは?

酒造創業1772年、岩手県盛岡市の菊の司酒造が醸す、すべてのスペックが非公開にされた清酒です。わかるのは米、米こうじ、水から造られた美味しい酒であることだけ!!数量限定商品です。

2019非公開POP

「参加型日本酒」を楽しむ!

この商品では消費者の皆様に「利き酒」を楽しんでいただきます。「利き酒ってなに?」と思われた方は、「きくつかこらむ」のバックナンバーをご参照ください。簡単に言えばテイスティングのことですが、今回はご自身の舌で感じた味わいを基にクイズに挑戦していただきます。

クイズは①原料米/②精米歩合/③特定名称/④酵母/⑤火入れの全5問で、4つの選択肢の中から正解を導き出していただきます。ここでは皆さんの利き酒のご参考になるように、クイズの内容に関する解説をしていきます。

①原料米

非公開クイズ_1

A.美山錦
このお米は長野県が1大生産地の酒造好適米です。比較的もろみの中で溶けにくいお米なので、この米で造られる酒はふくよかな味わいというよりスッキリ淡麗系が多いです。菊の司酒造では「大吟醸 てづくり七福神」で美山錦を使用しています。

B.吟ぎんが
「岩手県オリジナルの酒米で酒を造りたい」という要望に応えて誕生した、最初の岩手県産酒造好適米です。吟醸酒米として岩手県で最も普及している酒米で、美山錦と反対に溶けやすく芳醇な味わいの酒質が目立ちます。菊の司酒造では「純米酒菊の司吟ぎんが仕込」などで使用しています。

C.結の香
これから全国で人気になっていくであろう岩手県産最高級酒米。酒米の王「山田錦」と青森県「華想い」を親に持ち、華やかな香りで雑味のないキレイな酒質が特徴的です。菊の司酒造では「純米大吟醸菊の司結の香仕込」で使用しています。

D.山田錦
言わずと知れた酒米の王「山田錦」。芳醇系から淡麗系まで幅広い酒が造られています。産地も様々でそこで特徴も変わってくるのがこのお米の面白いところ。東北では宮城県が北限で、岩手県では当然栽培されていません。菊の司酒造では「大吟醸てづくり七福神 門外不出」に使用しています。

②精米歩合と特定名称について

非公開クイズ_2

日本酒の基本的な原材料は米・米こうじ・水です。米は私たちが普段口にしている飯米においても精米が行われていて、お米がどれだけ削られたかを表す数値を「精米歩合」と言います。例えば「精米歩合70%」と表記されていたら、「30%削られて70%残っている」状態を指します。詳細はきくつかこらむのバックナンバーをご覧ください。

非公開クイズ_3

先程基本的な原材料として3つ挙げましたが、その他によく使われるものとして「醸造用アルコール」があります。通称「アル添」と言って、要するに高アルコールの焼酎をもろみに添加する醸造方法です。これに関してもきくつかこらむのバックナンバーをご参照いただければ幸いです。

このアル添の有無と精米歩合の違いによって、日本酒には特定名称という名前がつけられています。表は以下の通りです。

正直なところ、蔵・商品によってかなり異なるので一概に「純米酒は~~な酒質で…」みたいなことは言えません。それを踏まえた上でヒントになるような要素としては、吟醸には低精白の純米酒にはあまりない吟醸香という華やかな香りが感じられ、嗅覚の部分でかなり違いがあります。また米がより削られている酒の方が、味覚としてはより繊細でピュアな仕上がりになっています。雑味のない酒という意味ですね。

こんなことを参考にしつつ、精米歩合と特定名称を当ててみてください。

③酵母

非公開クイズ_4

A.岩手2号酵母泡なし(Iw201)
岩手県独自に開発された清酒酵母で、きょうかい7号酵母系統の特徴を持っています。キリっとした酸味が特徴的であり、菊の司酒造では「純米酒 平井六右衛門」や「純米酒 菊の司 吟ぎんが仕込」に使用しています。

B.きょうかい18号酵母泡なし(K1801)
全国でも広く使われている吟醸酵母です。メロンやマスカットを連想させるフルーティーな香りが特徴的で、味の奥にはビターな苦みを感じさせます。菊の司酒造では「大吟醸てづくり七福神 門外不出」「純米大吟醸 菊の司 結の香仕込」など最高級クラスの酒に使用しています。

C.きょうかい9号酵母泡なし(K901)
熊本県で昭和28年頃分離された清酒酵母。芳醇な香りが特徴で、吟醸酒の仕込みで使用されていることが多いです。発酵力の強さでも知られています。菊の司酒造では「和の酒 菊の司」や「純米生原酒 菊の司 亀の尾仕込」など、普通酒から特定名称酒まで幅広く使用しています。

D.ジョバンニの調べ
岩手県独自の吟醸酵母。岩手2号酵母の流れを汲んでいるので、こちらもきょうかい7号系統の酵母になります。近年ではカプロン酸エチル高生産性酵母としてきょうかい18号と同じくらい、県内の蔵元が最高級クラスの吟醸仕込に使用しています。菊の司酒造では「大吟醸 てづくり七福神」などに使用しています。

火入れor生酒?

非公開クイズ_5

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ヒントは以上で終了です。正解発表とこのお酒の正体は6月に発表します。それまでの期間、存分に利き酒を楽しんでいただければ幸いです。

「非公開」に込めたもう1つの想い

昨今の日本酒ブームの起爆剤は「多様性」にあると考えます。水・気候に代表される風土や、南部杜氏など地方の技術者集団による違いは、昔から広く知られている多様性ですよね。近年はそこに都道府県ごとのオリジナル酒米、酵母、麹菌が加わり、更なるバリエーションを生んでいます。

そんな中で日本酒が情報で飲まれる酒に変わっていっています。本来は単純に五感で味わい直観的に楽しめる物ですが、「やっぱり山田錦はおいしいね」とか「40%まで削っている酒の方がおいしいに決まってるよね」のような声をよく耳にします。

非公開はそうではなく、すべての情報がわからない状態で自分の感覚だけで酒を味わう楽しさを、改めて提案させていただきます。そういった価値観に気づいていただければ、造り酒屋冥利に尽きます。

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菊の司酒造|kikunotsukasa

酒造創業1772年、岩手県盛岡市に蔵を構える県内最古の酒蔵です。

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