
2019.06.11
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こんにちは!
大人の贅沢な遊びのひとつ。
「お座敷遊び」
世情の流れとともに、全国的に花柳界が衰退するなか、今もなお、正統派として受け継がれる煌びやかな遊び文化は知る人ぞ知るところ。
敷居が高そう…
一見さんお断り…?
なんてイメージは置いておき、
世の大人たちは、一体どんな遊びをしているのだろう?
そんな疑問から、当こらむのお題に「お座敷遊び」が選ばれることとなったのです。
当蔵の所在地である、ここ盛岡にも「盛岡芸妓(げいぎ)」なるものが、今もなお、伝えられていることは知ってはいました。
盛岡芸妓について、詳しくは『盛岡芸妓-盛岡商工会議所ページ』をぜひご覧ください。
盛岡ブランドとも称される、芸の披露は市内の老舗料亭などが中心となり。
踊りや長唄など、長きに渡り継承されてきた伝統芸が宴席の場を華やかに彩るのです。
こういったおもてなしも「お座敷遊び」のひとつ。
ひとつと申したのには、続きがありまして、
どうやら、お酒を交えた、宴席一体型の楽しい「遊び」が存在するようなのです。
この遊びに共通して言えることは、負けたらお酒を飲む。
こんなことをつらつらと書いてはいますが…
私自身、お座敷遊びを一度たりとも経験したことは無く、知識はゼロ。
そんなところに舞い込んだ朗報!
ご縁もあり、なんと盛岡芸妓見習いひよ妓(ひよこ)の喜久丸(きくまる)さんにお座敷遊びについてお話をお伺いすることができましたので、いくつかご紹介いたしましょう。
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まず、お猪口を人数分用意し小さなお盆に裏返して置きます。一つのお猪口に菊の花をそっと忍ばせ、お盆を回したり、お猪口をシャッフルしてみたりと、菊の花の入ったお猪口を分からなくします。「だれが取るのか菊の花~♪(あみだくじのリズム)」と歌いながら一人ずつお猪口を開けていきます。菊の花が出た人が、開いたお猪口の数だけお酒(ご褒美)を頂けるというわけです。人数が多いほど、絶対負けられない戦いとなるでしょう。
お猪口を五重塔に見立て、五段に重ねてお酒を注いでいきます。これを、手を使わずに口だけでお酒をクビクビ飲みます。空いたお猪口は再び五段に重ねていきます。
難易度はかなり高そうですね。
仮に出来たとしたら、そのあと何が待っているのでしょうか…。
「べくはい」は土佐を代表するお座敷遊びで有名でございます。
天狗、ひょっとこ、おかめの絵が2面すつ描かれている六角形のコマをお盆の上で回します。
コマが止まった時、軸がさす方向に座っている人が大当たりです。出た面の絵柄の杯でお酒を飲み干さなければなりません。
3種の杯で、お酒の入る量や形状に違いがあるため、運も必要となる遊びです。
ひょっとこは底に穴が開いてるため、飲み干すまで、指で塞がなければなりません。
天狗は、この3つの中で一番大きな杯です。鼻の奥までお酒が入ってしまうため、相当な量を飲むことになります。
おかめはというと…ごく普通のお猪口です。ハズレでもなく当たりでもないといったところでしょうか。(笑)
座布団の上に二人で立って、三味線の音に合わせてお尻バトル。
ルールは簡単、座布団から両足離れた時点で負けとなり、お酒をいただきます。
一見シンプルなお座敷遊びですが、宴席は予想以上に盛り上がるそうです。
この遊びは、カラダ全体を使ったお座敷ジャンケン。芸妓さんとお客さんの2人が屏風を挟み、相手からは見えないようにします。3種類のジェスチャーの中からひとつを選択。
「和藤内」は槍で突くポーズ
「虎」は四つん這いで野生的に
「老母」は杖をつく様子
ジャンケンにあてはめると、
和藤内がグー、
虎がチョキ、
老母がパーです。
上の図のように、虎退治をする和藤内は虎に勝ち、虎は老母に勝ち、老母は自分の息子である和藤内に勝つというわけなのです。
唄や三味線の音に合わせて、ジェスチャーをしながら同時に屏風から出てきます。上手に役に成りきると宴席の場は大変盛り上がります。もちろん、負ければお酒を頂くのがルールです。
“和藤内(わとうない)とは?
中国・明時代の実在の人物である鄭成功(ていせいこう)をモデルとした近松門左衛門作「国性爺(こくせんや)合戦」の主人公。諸説ありますが、この遊びは和藤内の虎退治から来ているものだとか。
”
2人が台を挟み、互いに向かい合わせになるように座ります。台の上に手で掴むことができるお椀などをひとつ準備します。
金比羅船々(ルーツは香川の民謡)の唄に合わせ、台の上の椀に手の平を下に、パーの状態にして交互に乗せていきます。相手または、自分が物を掴んで上に持ち上げた時は、台の上で手をグーにして乗せなければなりません。
繰り返すうちに、スピードが上がっていきますので、白熱必須の遊びとなります。慣れている芸妓さんを負かすのは至難の業です。
上記のお座敷遊びの中から、特に気になっていたのが「べくはい」です。
摩訶不思議な酒器をひと目見たく、さっそく、土佐からお取り寄せ。
今回は司牡丹酒造さんから販売されている、有名なべくはいセットを注文してみました。
土佐を代表するお座敷遊びで有名な「べくはい」の名は、漢文からきているもので、「可」の字は「可〇〇(〇〇すべし)」と書き、常に句の上に来て、下にはつけない字であることから、飲み干さない限り杯を置けないことから「可杯(べくはい)」と呼ぶようになったようです。参考にまで。
せっかくですから、今回お話をお伺いさせて頂いた、喜久丸さんとご一緒に(笑)
コマを回します。
ぐはっ!天狗!
……ではお約束の。
流石プロです!美しいお酌をしていただきました。美味しそうです。
じゃじゃじゃ!
天狗の杯は思った以上にお酒が入ります。
半合くらいありそうです…
これを飲み干すと、
案の定…
酔っぱらうわけです。
ごちそうさまでした。
(奥さんごめんなさい…。)
日本全国津々浦でお座敷遊びは継承されています。今回、ご紹介したものは、そのほんの一部でしょう。舞妓さんや芸妓さんを相手に余興やお酒を楽しむ、大人のみが許される社交場。まさに、古き良き日本の正統派文化。
その中で、日本酒はコミュニケーションツールとなり、お酌はもちろんのこと、宴席を愉快にさせる粋な一面をもっているのではないでしょうか。
今後とも日本酒はもちろんのこと、日本酒と深く交わる、華麗な花街の歴史を絶やすことなく広めていければと思います。
盛岡市の伝統文化「盛岡芸妓」のお座敷体験の様子を。
盛岡芸妓では、お座敷体験講座というものを実施しています。
芸妓さんたちと、料亭のお弁当を囲んでお座敷遊びを体験してみましょう。喜久丸さんいわく、ふだんお座敷とはなかなか縁が無い奥様方の参加も多いのだとか。体験なので、「ご褒美」はお水でもOKだそうです。
ちょっと興味がある方は、ぜひ盛岡芸妓後援会Facebookをご覧ください。
それでは、日本酒かるた第16弾いってみましょう!