蔵元が初心者におすすめする日本酒選びの3つのコツ
蔵元が初心者におすすめする日本酒選びの3つのコツ

2016.08.31

蔵元が初心者におすすめする日本酒選びの3つのコツ

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まいど!ゆーきです。

日本酒って、ややこしいよなぁ。

そんな風に思うのは、たぶん、日本酒の専門用語が多いからです。

『純米吟醸無濾過生原酒 菊の司 結の香仕込中汲みしずく酒』

なんて商品がもしあったら、めちゃくちゃ興奮するマニアがいる一方で、意味が分からなくてパンクするライトユーザーも大量発生します。そんなお酒に限って、偉そうに棚に置いてあるから気になるけど手が出せない。しかも大抵ちょっと高い。日本酒のハードルを上げまくってますよね。これは差別化するために酒造用語を表に出したい酒蔵のジレンマです。ほんとはもっとシンプルに日本酒を楽しんでほしいけど、他の商品との違いをアピールしたいから、どんどん複雑になっていくわけです。

単純にお酒の本質を読み取るには情報過多な日本酒の世界。特に初心者の方は、どの用語がどのような意味なのか、分からない場合も多いことでしょう。しかし、本質的に必要な情報というのは案外少なくて、ラベルに記載されている情報の中でも3つだけ正確に理解していれば良い、というのがぼくの持論です。

味わいの「純度」がわかる精米歩合を理解しよう

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まずはじめにチェックしたいのが精米歩合(せいまいぶあい)。

精米歩合とはお米を精米し、実際に使用している割合のことです。たとえば「精米歩合40%」と書いてあったなら、玄米から60%の糠を磨き落とした白米を使ったお酒です。

基本的に精米歩合が低ければ低いほど雑味の少ないキレイなお酒になります。なぜなら、お米の外側にあるたんぱく質や脂質を削り落としてしまうからです。食用米の精米歩合がおおよそ93~92%ぐらいなのに対して、お酒造りに使う白米はほとんどが70%以下です。吟醸酒になると60%以下、大吟醸なら50%以下でないと法律上認められません。お米の半分以上を磨き落としてしまうということです。

タンパク質や脂質といった成分は、お米のうまみや“てり”を出すために必要で、飯米には多く含まれていますが、お酒造り、特に吟醸造りには邪魔な成分なんです。たんぱく質は分解されてアミノ酸になり、多すぎると雑味の原因になります。脂質は香りの成分が立ち上る際の妨げになり、あのフルーティな吟醸香を楽しむことができません。酒米はデンプン質の割合が純粋。糖を多く消費する吟醸酵母にとっても都合がいいのです。

逆に言えば、精米歩合が高ければ味のしっかりしたお酒が多いということです。

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一応、吟醸や大吟醸などの区分も精米歩合によって法定されていますが、今どき、その辺はかなり曖昧です。精米歩合60%以下であれば吟醸を名乗って良いことになっていますが、55%の純米もあります。おおよそ吟醸といえば50%以下というのが今の日本酒市場のスタンダードです。

ですから、すっきりしたお酒が好きなら精米歩合55%以下、どっしりなら60%以上というのがひとつの目安になります。

ちなみに、米の品種は無視してOKです。

これは日本酒あるあるなのですが、たまたま飲んだ好みのお酒が山田錦でそのまま信者になっちゃうパターン。これは雄町でも亀の尾などの他の米でもそうなのですが、酒米だけでも100種類以上あるのに、たまたま出会ったお気に入りだけしか見えなくなっている人は非常にもったいないことをしています。たしかに、米によっておおまかな傾向や方向性はありますが、とりあえず色んなお酒を飲んでみて、自分の感性で好みの酒質を見つけていきましょう。

酒米については「酒米だけで100種類超!酒造スペシャリストの特徴とは」をご覧ください。

「生」の文字を探そう!でも「生酛」「生詰」「生貯蔵」は注意

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日本酒の加熱処理の有無は、味わいにものすごーく影響します。

「火入れ」とは日本酒を65℃で加熱処理すること。殺菌や品質の安定化などさまざまな目的で施します。実は江戸時代から伝わる伝統的な製法です。フランスのパスツールがワインの低温殺菌法を発明するより前から、日本のちょんまげ職人たちは、経験的にこの方法を編み出していたのです。すごいですよね。

逆に、この火入れをしていないものが生酒(なまざけ)ということになります。殺菌されておらず、酵素が働く状態なので品質の変化が早い。だから要冷蔵なわけです。

魚でいうと、干物と刺身。火入れ酒は味が安定していて生酒に比べると味の起伏が少ない。対して生酒はぴちぴちフレッシュな飲み心地ですね。一般的に、「生」と書いていないものは火入れ酒です。

ただし「生詰」「生貯蔵」は火入れをしたお酒です。この表記、ぼくは絶対に無くした方が良いと思っています。少なくとも商品には表示しない方が、お客さんも混乱しないですよね。また「生酛(きもと)」というのはお酒の製造方法のことです。天然の乳酸菌を利用した伝統的な製造法ですが、加熱殺菌とは無関係です。

ちなみに加水の有無はアルコール度数に影響します。ざっくりいうと飲み応えです。加水を施さないものには「原酒(げんしゅ)」と書いてあります。今の日本酒業界のスタンダードは加水して15度くらい、原酒で17~18度くらいです。最近は低アルコールの原酒といって5~10度前後のものも。

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まとめると、「生原酒」なら火入れも加水もなし、「生酒」なら火入れなし加水あり、「原酒」なら火入れあり加水なし、ということになります。

どの酒が良いかは好みになります。ただ、最初は火入れ酒をおすすめします。比較的劣化が遅くて管理も楽だからです。

「原材料名」をチェックしよう

正直、ここまでのチェックでおおまかな酒質はイメージできるようになるでしょう。ついでに原材料名も見ておきます。

日本酒の原材料となるのは米と米麹が基本です。これらだけで造られた酒が純米酒(じゅんまいしゅ)です。これに醸造アルコールという、いってみれば焼酎を入れ香味を仕上げたのが純米じゃないやつですね。普通酒や本醸造酒、吟醸酒、大吟醸酒などがこれで、「アル添酒」なんて呼ばれたりもします。

ラベルの雑音を無視する??日本酒の選びの3点チェック

とりあえず、「コクの純米キレのアル添」で覚えておけば大体OKです。大体、というのは色んなお酒を飲んでいくうちに分かってくると思います。後味のスッキリした純米酒や旨みがのったアル添酒もありますが、大はずれということはありません。

ちなみに「純米至上主義」でアル添酒を異常なまでに毛嫌いする方がいらっしゃいますが、「米信者」と同じくらい損していると思います。

また、酸味料や糖類などが原材料名に表示されているものについては、初心者の方は特に注意した方が良いでしょう。これらは調味料なので表面上の味は整っていても、実はバランス的に不自然だったりクセが誤魔化されていたりということも少なからずあります。中には日用酒として愛されている商品もありますが、特にビギナーの方は安いからといって手を出さない方が無難でしょう。

アル添についての殴り書きは「あなたが「アル添」を嫌いになったのは、なぜですか??」。

 

いかがでしたか??

難しく考えなくていいんです。最初はこんなもん。実際に飲んでみて「答え合わせ」を繰り返していけば、段々自分の好みがわかってくるはずです。

結局、初心者の方ほどちゃんとしたスタッフがいる店に行った方が失敗がないですよ。地酒専門店とか、デパートとか。ぜひお気に入りの日本酒探しを楽しんでみてくださいね。

では。

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蔵元が初心者におすすめする日本酒選びの3つのコツ
平井佑樹 HIRAI YUKI

岩手県最古の酒蔵、菊の司酒造16代目蔵元(予定)。
地元盛岡で生まれ育ち、明治大学を卒業後ブーメランで蔵入り。
日本酒「菊の司」「七福神」の他にオリジナル「平井六右衛門」を醸してます。
1991年10月12日生まれ。たまの休日は少年野球とデジイチさんぽ。
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