ひやおろしは冷やして飲まなきゃダメ??
ひやおろしは冷やして飲まなきゃダメ??

2016.09.17

ひやおろしは冷やして飲まなきゃダメ??

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まいど!ゆーきです。

最近よく聞きませんか、ひやおろしって言葉。

漢字で書くと「冷や卸し」、日本酒ファンなら誰もが知ってる秋のお酒ですよね。

ひやおろしの歴史は結構古くて、江戸時代から街のちょんまげ呑兵衛たちに親しまれていたようです。でも、どんなお酒かというと実は曖昧な部分が多い。

というわけで、今回はひやおろし特集いってみましょう。  

 

ひやおろしとはズバリ…

ひやおろしは冷やして飲まなきゃダメ??

「火入れをしてひと夏越えた原酒」

です。整理してみましょう。

火入れとは、お酒を加熱処理することで殺菌したり品質を安定させる工程のことでしたよね。ちょっと頭のいい小学生でも思いつきそうな方法ですが、技術的に確立されたのは意外と最近、1800年半ばのフランスです。有名なパスツールさんがワインの殺菌方法として編み出したのが低温殺菌法。でも日本人、そのはるか300年前の1560年ころから火入れをしていたとされています。これがジャパニーズ職人魂です。なぜ米と水を混ぜ合わせた液体から酒ができるのか、菌類の概念など当然無く「神様のイタズラ」だと本気で信じていた時代のことですから、すごいと思います。

江戸時代には年間5℃以下をキープしてくれる冷蔵庫なんかありません。冬に仕込んだお酒を美味しく保存するためには火入れが必須だったのです。この火入れをすることで、夏の間じっくりと、安全に熟成させることができるわけです。

そして旨みが円熟したころ、外の気温が秋に向けて下がるのを見計らって「火入れをせずに詰めて売る」から「冷や卸し」と呼ばれるようになりました。

ちなみに当時の日本酒は冬の造り以外を禁じられていて、新酒造りが始まる前の夏から秋のお酒は格別貴重だったともいわれています。今度の冬に造られる新酒を楽しみに、わくわくしながらひやおろしを飲んでいたことでしょう。  

 

ひやおろしは冷やして飲まなきゃダメ??

ひやおろしは冷やして飲まなきゃダメ??

そういうことなので、ひやおろしは旨みを楽しむお酒です。だから、ぼくはよくお燗をおすすめします。

「えー!ひやおろし燗しちゃうの?!」

リアルガチでこのくらい驚かれる方がいらっしゃいます。そんな馬鹿な、と思うかもしれませんが実は多いのです。

せっかくの旨みが崩れてしまう、原酒なのにアルコールが飛ぶ。たしかに、ひやおろしが2回目の火入れをせずにビン詰めされるのはそういった理由もあります。でもね、日本酒の旨みは燗でこそ、ですよ。

以前に「日本酒と冷蔵庫だけでOK!夏におすすめな飲み方3選」という記事でご紹介しましたが日本酒に含まれる糖分グルコースや、旨み成分であるコハク酸は、高い温度帯の方が感じやすい成分です。暑い夏にスッキリ飲むには冷やせばよいと書かせていただきましたが、酒の旨みをフルに感じたいなら逆のことをすればいいわけです。つまり、お燗ですね。

ひやおろしの熟成は結構早いペースで進んでいます。「積算温度」という考え方がありますが、ひとつの目安が1000といわれています。

どういうことかというと、たとえば今日火入したお酒が60℃でした。次の日検温して50℃だったら積算温度は110です。そうやって積み上げていって、1000を境に酒質がガラリと変わるということです。 3/1にタンクで火入れして常温に戻るまで大体10日前後かかるとしましょう。その間にすでに積算温度は400を越えているでしょう。ひやおろしの発売日が9/10だとすると残りの6か月間の品温を積み上げていくと「Ave.20℃×30×6=3600+400(火入れ後の積算温度)=4000」という割とゴツい数式ができあがります。ちなみにぼくは根っからの文系です。

ややこしいのでもうやめますが、とにかく、ひやおろしの熟成は平均してかなり重ためだと思います。特に「甘め、すっきり」ブームに舌が慣れている方は相当濃く感じるはずです。

酒によりけりですが、だいたい43~50℃くらいでぜひ試してみてください。気持ち熱めにした方が、輪郭が締まってじわっと旨みが沁みますよ。  

 

ひやおろしだけじゃない、秋のお酒を満喫しよう

ひやおろしは冷やして飲まなきゃダメ??

なんと悩ましいことに、現代の秋のお酒はひやおろしだけじゃないんです。

ビンで貯蔵した軽やかなタイプのものや、冷蔵庫でじっくり味ノリさせた生酒なんかも珍しくありません。四季醸造の酒蔵からはこの時期に合わせた新酒も発売されています。ずっと江戸時代の話をしてきたので、現代技術の進歩が頼もしいですね。そういったタイプのものは「秋上がり」や「秋酒」などと表記されていますのでぜひチェックしましょう。

ビールがここ数年で秋の商品にかなり力を入れてきていますよね。実際に飲んでみると、やはり通常の商品より「旨み」に特化しているのがわかります。ビールでさえ、秋の味覚には「ノド越し」より「旨み」なのです。秋の日本酒とぜひ飲み比べてみてください。意外な共通点が見つかるかもしれませんよ。

 

いかがでしたか??

さあ、こっからいよいよ日本酒シーズン到来です。 思う存分、日本酒の秋を楽しみましょう。

では。

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平井佑樹 HIRAI YUKI

岩手県最古の酒蔵、菊の司酒造16代目蔵元(予定)。
地元盛岡で生まれ育ち、明治大学を卒業後ブーメランで蔵入り。
日本酒「菊の司」「七福神」の他にオリジナル「平井六右衛門」を醸してます。
1991年10月12日生まれ。たまの休日は少年野球とデジイチさんぽ。
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