酒米だけで100種類超!酒造スペシャリストの特徴とは
酒米だけで100種類超!酒造スペシャリストの特徴とは

2016.12.9

酒米だけで100種類超!酒造スペシャリストの特徴とは

このエントリーをはてなブックマークに追加

RSS

まいど!ゆーきです。

お酒造り用に特化したお米があることをご存知でしょうか。

酒造好適米といって、「山田錦(やまだにしき)」や「五百万石(ごひゃくまんごく)」、「美山錦(みやまにしき)」などが有名でしょうか。そういえば、お酒のラベルに書いてあるのを見たことある、って人も多いと思います。酒米(さかまい)と呼ばれたりもしますよね。

日本の数あるお米の品種のうち、実は酒米だけでも100種類以上あります。そもそも、酒米って普段食べる飯米と違うの??

ということで、今回は酒米についてどどんとご紹介します。

 

酒米はお酒造りのプロフェッショナル

DSC_0142

さすが、酒米というだけあってお酒造りに特化した性質に品種改良されています。では、日本酒専用のお米には、どんな性質が求められているのでしょうか。いくつかあるのですが、今回は大まかなところをひとつずつ見ていきましょう。

まずは、精米。玄米を100%として、精米歩合99%以下のお米は全て白米なのですが、わたしたちが普段食べるお米はもちろん、お酒造りに使うお米もふつうは白米を使います。要は、お米の外回りを磨き落としてから使うのですが、その割合が食べるお米とは段違いなのです。

食用米の精米歩合はおおよそ93~92%ぐらい。対して、お酒造りに使う白米はほとんどが70%以下です。吟醸酒になると60%以下、大吟醸なら50%以下でないと法律上認められません。お米の半分以上を磨き落としてしまうということです。

これは、単に贅沢というだけでなく、お米そのものが精米に耐えられるかということが重要になってきます。

ここで酒米に求められるのは、特に精米歩合50%以下の高精白に耐えられる粒の大きさと粘り気。精米のメカニズムはさまざまありますが、大体は高速で回転する超硬度のロールにお米をあてて削ぎ落していくものです。当然ながら、一度あてただけでつるんと白米が完成するわけがなく、何回も何回もお米を循環させて少しずつお米の表面を磨いていくのです。

量にもよりますが、60%までで24時間、50%までで48時間、40%なら72時間というように、ものすごい時間をかけて精米し続けなければなりません。精米が進むほど、白米は摩擦による熱をもち割れやすくなります。そのため酒米には高精白に耐えられる砕けにくさが必要なのです。

また、酒米の成分をみてみると、飯米に比べてたんぱく質や脂質が非常に少ないのも特徴のひとつ。

それらの成分は、お米のうまみや“てり”を出すために必要で、飯米には多く含まれていますが、お酒造り、特に吟醸造りには邪魔な成分なんです。たんぱく質は分解されてアミノ酸になり、多すぎると雑味の原因になります。脂質は香りの成分が立ち上る際の妨げになり、あのフルーティな吟醸香を楽しむことができません。酒米はデンプン質の割合が純粋。糖を多く消費する吟醸酵母にとっても都合がいいのです。

それから、酒米の中心には「心白(しんぱく)」と呼ばれる白い芯がみられます。

これは、分子の結合が外側と違っているために発現するもので、表面は細かくひび割れています。このひびに麹が深く根差し、よい麹ができあがるのです。

他にも、蒸米の捌けが良い、つまり表面がさらっとしているとか、もろみの溶けがいいとか、いろいろありますが、とにかく酒米というのはお酒造りのためにあれこれ研究されて生まれた品種です。何十回も何百回も異種交配を繰り返して酒米として世に出されるんです。人間の探究心はすばらしいですね。

 

山田錦ってそんなに良いお米なの??

994fe8b0f8761b9cc486e9131467b4fd

酒米の話をする上で欠かせないのが「山田錦(やまだにしき)」でしょう。酒米の王様なんて呼ばれたりもしますが、ぼくもそう思います。

山田錦は、1923年に兵庫県立農事試験場で「山田穂(やまだほ)」と「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」を交配させて誕生し、1928年に兵庫県加東郡社町で産地適応性の試験が行われました。1936年に「山田錦」と名付けられ全国でも栽培されるようになりましたが、生産量のおよそ8割を兵庫県産が占めています。特に、地層にマグネシウムとリンの成分が豊富に含まれ、土壌は粘土質で水はけが良好な三木市や加東市の一部は特A地区に指定されていて有名ですね。

特長といえばやはり精米の適性でしょう。米粒が大きくて高精米時に砕けにくく、タンパク質が少なく心白が大きいのも魅力的です。ただし、穂がが長いので倒れやすく病気や害虫や風に弱いという性質を持ち、農家さんの高い技術が要求される品種でもあります。

その昔は「YK35」という言葉が流行ったほど、山田錦は業界内で確固たる地位を築くことになります。ちなみにYK35とは「(Y)山田錦を(35)%まで精米して(K)きょうかい酵母で造ったお酒」のことで、これを鑑評会に出品すれば金賞が取れる、むしろそれ以外は賞を取れない、という意味らしいです。様々な優れた米や酵母が手に入る、今となっては信じられませんよね。

菊の司でも山田錦は使っています。それこそ、鑑評会出品用の精米歩合40%の大吟醸なのですが、やっぱり他のお米とはちょっと違います。造り中の操作性が圧倒的に良いし、できあがったお酒も透明感があって品格を漂わせています。

ちょっと高そうな、立派な箱入りの大吟醸は今でも山田錦が多いですよね。YK40とかYM(明利酵母)35なんてのもザラですし、案外進歩ないかも。でも、それほど山田錦というのは良いお米ということです。

 

オリジナル品種や復刻米でさらにバリエーション豊かに

【9/28-10/11】堺 北花田阪急「秋の日本酒まつり」

「山田錦」や「五百万石(ごひゃくまんごく)」、「美山錦(みやまにしき)」などの全国区の酒米の他に、今の日本酒業界はさまざまなお米が活躍しています。

まずは都道府県などがオリジナルで開発した品種。

お酒造りは、気候や水、習慣などに強く影響されます。その土地で育まれたお米を使う、さらには特化した米をつくり上げよう。ということで、実に多様な切り口で品種開発が行われています。

岩手県では、「吟ぎんが(ぎんぎんが)」「ぎんおとめ」「結の香(ゆいのか)」の3つが栽培されています。それぞれが、それぞれの特徴を持ち、お酒によって使い分けられています。今度、この3品種については特集記事を追記します。

また、復刻米もよく話題にあがってきますよね。

「穀良都(こくりょうみやこ)」、「強力(ごうりき)」、「亀の尾(かめのお)」、「渡船(わたりぶね)」、「祝(いわい)」などが有名でしょう。あの「雄町(おまち)」も復刻品種だってご存知でしたか??

亀の尾は菊の司でも使っていますが、実はこれ、もともと酒米ではないのです。山形県で誕生したお米なのですが、当初は食味に優れたお米で名が通っていました。しかし、後継品種の登場にしたがって次第に市場から姿を消していくことになります。「ササニシキ」や「コシヒカリ」などの飯米のほか、「五百万石」も亀の尾の子孫にあたります。

その後、1983年に新潟の久須美酒造さん、山形の鯉川酒造さんの手で復活を果たしました。酒質にも現れる亀の尾の風味、そして精米に耐えうる大きな粒が注目を浴び、徐々にほかの蔵でも使われるようになったのですが、栽培が非常に難しく、現在でも幻の酒米と呼ばれ重宝されています。

これらのオリジナル品種や復刻品種をあわせると、日本酒と米の世界は本当に広い。当然、飯米も使いますからね。まさに無限大です。

 

いかがでしたか??

お米に注目して楽しむのも、日本酒の醍醐味です。

ぜひ、いろんなお米で造られたいろんなお酒を飲んでみてくださいね。

では。

このエントリーをはてなブックマークに追加

RSS

おすすめ記事

酒米だけで100種類超!酒造スペシャリストの特徴とは
平井佑樹 HIRAI YUKI

岩手県最古の酒蔵、菊の司酒造16代目蔵元(予定)。
地元盛岡で生まれ育ち、明治大学を卒業後ブーメランで蔵入り。
日本酒「菊の司」「七福神」の他にオリジナル「平井六右衛門」を醸してます。
1991年10月12日生まれ。たまの休日は少年野球とデジイチさんぽ。
■Twitter
■Facebook
■Instagram

← 一覧へもどる