
2016.11.13
まいど!ゆーきです。
いよいよ、寒くなってきましたね。
温めた日本酒、お燗酒(かんさけ)がしみる季節がやってきました。
お店で頼むお燗酒は、やはりプロです、適温に仕上がったお酒がテーブルに運ばれてきますが、おうちでは上手にいかないことも。お客さまとお話していても、家では冷たくして飲んでいるという意見が圧倒的に多いです。もちろん好みもあるのでしょうが、やり方がわからなかったり、めんどくさかったりということもありそうですね。
日本酒の代表的な味覚成分はグルコース(ブドウ糖)とコハク酸です。グルコースは甘味、コハク酸はコクを感じさせる成分ですが、どちらも体温ぐらいの温度で感じやすい。つまり日本酒が持っているポテンシャルを引き出したいなら、温めた方がわかりやすい、ということです。
たとえば、香りが強い大吟醸酒やフレッシュな生酒は、よく「燗にしちゃもったいない」といわれていますが、これはこれで、おいしい飲用温度があるものです。たしかにデリケートではありますが。
そこで、今回はお燗酒をつくるときにおさえたい3つの基本的なコツをご紹介します。
コップに入れて電子レンジでチン。これで満足できる人は、こんなめんどくさいコラムを読んでいないでしょうから、手軽さと味を両立していきたいと思います。
それなりのお燗酒を飲みたいなら、最低限、徳利と猪口は必須です。猪口はお好みでOKですが、徳利はなるべく丸みを帯びたものを選びましょう。持っていない人は100均でも全く問題ありません。少し壊れやすいとか、お酒が冷めやすいくらいなので、慣れてきたら買い替えてみれば良いと思います。
なぜコップじゃダメなのか、それは対流に“よどみ”ができ温度ムラができやすいからです。どんな方法で加熱しても、必ず温度のムラが生じます。湯煎なら外側、電子レンジでは狭い部分から熱くなっていきます。熱い液体と冷たい液体は混ざり合おうとする流れができますが、この対流によって徐々に均等にお酒が温まっていくのです。
円柱型のカドがあるコップだと、隅に対流の“よどみ”ができ、うまく混ざり合いません。電子レンジの場合だと、この隅が加熱されすぎてしまうのです。
丸みを帯びたコップならいいのか、ということでもありません。口の広いコップは、せっかくあたためたお酒がすぐに冷めてしまいますし、口の狭いコップなら、揮発した香り成分がたまりすぎて美味しくありません。
お燗酒をつくる時は、ぜひ徳利であたためて、猪口に注いで楽しみましょう。
ガチでやるならチロリもおすすめです。めっちゃ高いです。
徳利を使って湯煎すると、量にもよりますが最低でも2分くらいは時間がかかります。その間、開けっ放しの徳利の口からは、芳しい香りの成分やアルコール分がだだ漏れなのです。もったいないですよね。
せっかくのお燗酒を香りの無い甘だるい液体にしないためにも、お酒を温める時はフタをしましょう。フタはなんでもいいのですが、ラップが便利です。電子レンジでチンする場合は、絶対にアルミホイルは使わないようにしましょう。最悪、火事になります。
ちなみにこの、お酒を温める時間、なるべく短い方がよいともいわれています。ぼくもそう思います。
電子レンジはどうしても過加熱がおきやすくて刺激的なお燗酒になるので、ぼくは湯煎推しなのですが、準備するのはいつも沸騰直後のお湯です。しかも徳利やチロリはぎりぎりまで温めておきます。そこにお酒を入れて、なるべく短い時間で目標の温度まで一気に上げます。びりっとした、染み渡るようなお燗酒が好きな人にはおすすめ。逆に、まったりとしたお燗酒が好きな人は、70~80℃くらいのお湯でゆっくり温める方法がおすすめです。
その点、湯煎だと100℃以下での加熱しかできないので、「蒸し燗」という方法もあります。酒蔵での火入れは、言ってみれば大規模な蒸し燗で、たしかに理にかなった方法です。興味のある人はぜひお試しください。ただし、せいろで蒸す関係、途中で温度チェックできないのでかなりの上級者向けと言えるでしょう。
もっともよくありがちな残念ポイントです。
一生懸命つくった渾身のお燗酒、最高の状態。早く飲みたいといって、冷え切ったお猪口に酒を注いだ瞬間、すべてが台無しになります。
お猪口が室温だとして、お酒との温度差にもよりますがおおよそ5℃は冷めてしまいます。計算して少し熱めに温める方法もありますが、5℃の差というのは、お燗酒にとって全く違う世界です。
ここまでこだわったのですから、お猪口も一緒に温めちゃいましょう。
湯煎ならお湯につけておくか、徳利にかぶせてフタにしておけば一石二鳥ですね。電子レンジの場合は少し水で濡らしてから、お酒と一緒にチンしてみてください。
かんたんですが、口に運ぶ直前の大事なところ。お燗酒の猪口を温めるのをお忘れなく。
いかがでしたか??
お燗酒は日本酒の味を引き出すだけでなく、酔いがまろやかになる、悪酔いしにくいといったメリットもあります。
ぜひ、3つのコツをおさえて美味しいお燗酒を楽しみましょう。
では。